英語の先取り学習について思うこと【経験者の目線から】
新しい学習指導要領への改訂により、2021年4月から小学校5年生・6年生で英語が正式教科になった。
それに伴い、早期英語教育ビジネスが活発化している。
小学校入学前からの英語の通信教育や英会話教室への勧誘・チラシが年々増えている。
次男が小学校高学年になる頃には「中学校の英語の授業は原則英語で行う」なんて恐ろしいことが当たり前になっているのだろうか。
英語先取り学習経験者からみた「英語先取り学習」
実はわたし自身、英語先取り学習の経験者だ。
今回は、英語先取り学習経験者からみた「英語先取り学習」のメリットと弊害について取り上げる。
小学生から英語学習を始めた経緯
わたしの場合、たまたま近所に英語の個人塾があって、小学校の同級生がそこに通っていた。
その同級生から紹介してもらって、その英語の個人塾に通うことになった。
当時はまだ英語の先取り教育が盛んではなかった。
当時、英語学習は中学校入学から始めるのが当たり前だった。
だから、わたしの親も英語先取り学習で受験に有利になることを意図して英語塾に通わせたわけではない。
わたしが英語を習い始めたのは、たまたま近所に英語塾があって、同級生が通っていたからに過ぎない。
楽しかった英語塾
その英語塾を運営していたのは、米国の名門大学を卒業してプロの会議通訳をしていた先生だった。
わたしは英語の勉強が大好きだった。
それだけでない。
わたしは英語塾で米国の文化や社会情勢を学ぶのが好きだった。
英語塾の先生は米国に留学経験があって通訳をしていたので、米国の文化や米国で今起こっている問題について精通していた。
スティービー・ワンダーという音楽家が米国に居て、目が見えないけれど素晴らしい音楽を創っていることを知ったのもその頃だ。
わたしは英語塾に英語を学んでいるだけでなく、英語を通じて米国のことを学んでいたのだ。
英文法を叩き込まれる
そこの英語塾の先生には小学生の頃から英文法を叩き込んで頂いた。
きちんとした英文法を身につけたことが以後の勉強や仕事に役になっている。
「小学生は英文法を理解できない」ということは決してない。
「英文法は要らない。英語学習は習うよりも慣れろだ」という人もいるけれ、大量の英語に毎日触れる機会がある人だけに当てはまることだと思う。
中学校での英語授業
わたしの場合、小3から英語塾に通い始めた。
そのおかげで、小学校を卒業する頃には中学校での英語学習範囲はすべて学習済みだった。
一方、当時の中学校での英語授業はアルファベットを読み書きするところからはじまる。
正直言うと、中学校での英語授業は簡単すぎて退屈だった。
英語の授業はいつも暇を持て余していた。
けれども、英語を勉強する必要がない分、他の教科の学習の時間がたくさんあったのが良かった。
英語自体は塾でどんどん先に進んでいたため、受験では英語に苦労しなかった。
わたしの場合、英語先取り学習は良いことばかり・デメリットはなかった。
英語先取り学習が向くかは子どもにもよる
けれども、英語塾に通っていた生徒がみんな英語先取り学習がうまく実を結んだかというと、そうではなかった。
英語塾で英語を先取り学習していても、英語の成績がそれほど良くなかった生徒もいた。
英語塾に通っていた生徒たちをみていると、結局、英語先取り学習が実を結ぶかは生徒自身の国語力にも大いに関係するように思える。
たとえば、国語力が後から伸びてくる子どもがいる。
そういう子どもは中学生になって国語力がついてから英語をはじめたほうが、英語を理解しやすいだろう。
そう考えると「英語先取り学習は誰でもおすすめ」とはいえない。
国語の勉強時間を削ってまで英語先取り学習をする必要はない。
第2外国語(英語)の能力が母国語(国語)の能力を超えることはないのだから。
わが家の次男は、就学前は楽しんで英語に少しずつ触れるにとどめて、本格的な英語学習は小学校入学後に始めるつもりだ。