昔のモノと今のモノ

わが家の電子レンジは25年前に買ったものだ。

25年前といえば、そう、ミレニアムと呼ばれた2000年である。

25年前に買った大手電機メーカー製の我が家の電子レンジ、毎日使い続けているのに、未だに壊れない。

 

自転車もそうだ。

電子レンジと同じく、25年前に購入した。

25年前、わたしは30歳になったばっかりで若く、お給料はそれほど高くなかった。

けれども、せっかくだから長く使い続けられる自転車を買おうと決め、がんばって3万円出して良質な自転車を買った。

25年モノの自転車は大手メーカー製で、車体がしっかりしている。本体が良い材質で作られているのだろう。

 

私が大学生だった頃、そう、35年くらい前に買った半袖のブラウスがある。

35年前といえば、そう、バブル絶頂の1990年前後である。

 

35年モノのブラウスはインド製のしっかりとした太糸で織られた織物でできている。

緑、紫、黄色、黒と色とりどりの糸を使って水平に織られただけのシンプルな柄が特徴的だ。

当時そんなに高いお金を出してそのブラウスを買った記憶はない。

35年前は手ごろな価格でそれなりに良質な衣類が買えたのだ。

 

そのブラウスをわたしは長い間来ておらず、箪笥の肥やしにしていた。

数年前に片付けをしたとき、そのブラウスを発見した。まだ十分に使えそうなそのブラウスを母にあげた。

母はそのブラウスを気に入り、何度も何度も洗濯して今も着ている。

 

35年モノのブラウスはもうかなりの回数洗濯に晒されたのだけれども、とても丈夫である。

昔の衣類の糸のほうが、今の衣類の糸よりもずっとしっかりとしていて丈夫だと思う。

そういえば先日、古家の片づけをしに実家に行った。

45年ほど前に居間に敷いたオレンジ色のカーペットがそのままの状態になっていた。

 

45年前といえば、そう、バブルが始まる前・YMOが一世を風靡した1980年前後である。

45年モノのカーペットはだいぶ色あせているけれども、剥がれや傷もなく、45年前のものとは思えないほどしっかりとしている。

そういえば、そのカーペットは、45年ほど前に近所のカーペット屋さんに頼んで床にひいてもらったのだ。

今はホームセンターに行ってカーペットを注文するのが主流だろう。

でも45年前は商店街の中にカーペット屋さんがあったのだ。

 

45年前、商店街のカーペット屋さんの店先には色とりどりのカーペットの巻物が置かれていた。

どのカーペットにしようかと、ワクワクしながら選んだっけ。

カーペット屋さんでお気に入りのカーペットを選んで注文したのち、カーペット屋さんが我が家に来て寸法を測ってくれて、寸法ぴったりのカーペットが敷かれた。

 

色褪せたカーペットを久しぶりに見て、そんなことを思い出した。

カーペット屋さんがあったビルはだいぶ前に建て替えられ、今は牛丼チェーンの店になっている。

昔のモノのほうが丈夫で長持ちだ、と思うことが最近多い。

昔のモノのほうが丈夫なのは、何年持つかを考慮して作られていないからだろう。

 

残念なことに、今のモノは最初から、数年で買い替えるように計画されている。そのほうが低コストで作れるからだ。

今のほうが昔よりも余裕がないモノ作りをしている、ということだろう。

 

捨てられない性分のわたしには、丈夫で長持ちするもののほうがしっくりくる。