育児は思い通りにならないものだ
フリーアナウンサーの高橋真麻氏が、自らの育児経験を通して母乳信仰について疑問を呈したことが共感を集めている。
今の時代、母乳育児が推奨されている。
確かに母乳を信仰する医療関係者の発言で嫌な思いをした人はたくさんいるんだろう。
だから私は「母乳で育てたかどうか人に聞かれなければ言わない・母乳で育てたかミルクで育てたかを人には尋ねない」ようにしている。
母乳かミルクか
残念なことに「ミルク育児は本当の育児ではない」なんてことを言ってしまう医療関係者が実際いるのだろう。
母乳かミルクかという話は、自然分娩か帝王切開かという話に似ている。
医療関係者ではない私でも「自然分娩を希望していたのに結局帝王切開になってしまった」と残念そうに言う人に今までたくさん会ってきた。
同じように「帝王切開は本当のお産じゃない」なんてことを言ってしまう医療関係者がいるらしい。
自然分娩も帝王切開も経験した私には信じられない発言だ。
帝王切開は自然分娩に比べて産後が相当ツライことを知っていれば、こんな発言は出てこない。
何事も「自分が体験してみなければ分からない」んだろう。
ミルク嫌い
私自身は強烈な母乳信者の医療関係者にあたったことはない。
私がたまたま母乳育児だったから嫌な発言をされなかったのだろう。
もし自分が完ミだったら、今まで出会った医療関係者から「なぜ完ミなのか?」などと尋ねられていたかもしれない。
母親の体質はひとりひとり違う。
子どもの体質だってひとりひとり違う。
親が母乳育児を望んでいても、子どもはミルク嫌いでさっさと卒乳してしまうことだってある。
実際、実妹はミルク嫌いで生後半年で卒乳してしまった。
母乳には免疫物質が含まれているから、同じ個体でいえば母乳を飲んでいたほうが免疫がつく。
けれども早く卒乳したからと言ってかならず風邪を引きやすくなるとは限らない。
個人差が大きい。
ミルク嫌いでさっさと卒乳した実妹は1歳から保育園に通っていたにもかかわらず、風邪ひとつひかない子どもだった。
完ミだった親世代
だから、母乳・ミルクどちらでも自分が好きなように育児をすればよいと思う。
そういえば、高橋真麻氏が母乳信仰者の発言がつらいと言っていたのとは逆に、私は義母と実母が完ミ世代だったせいで大変な目にあった。
私は、長男が生後4か月ぐらいの頃、親類の結婚式に参加するよう義母に強要された。
結婚式に出席するために長男を長時間実母に預けて外出した結果、おっぱいがパンパンに張ってしまい、乳腺炎寸前ではちきれそうなほど痛みで大変な思いをした。
帰宅後、長男に急いでおっぱいをあげた。
さらにまだ溜まっているおっぱいを搾乳機で出し切って事なきを得た。
子ども2人を完ミで育て、母乳育児を経験していない義母は、赤ちゃんにおっぱいを長時間あげなかっただけで、おっぱいが張ってひどいことになるという体験をしていない。
だから、授乳婦が長時間外出するとどんなことになるか、義母は想像つかなかったのだ。
今思えば長男を一緒に連れて結婚式に参加したほうが良かった。
けれども、私自身もおっぱいを長時間あげないとどんなことになるか体験したことがなかったから、長男を実母に預けて結婚式に参加してしまった。
そして、実母も子ども3人とも完ミで育てたので、長時間おっぱいをあげないとどんなことになるか、実母も想像がつかなかった。
だから、実母も義母と同じく、娘である私が授乳中に結婚式に参加することに何の疑問を持たなかった。
やっぱり人間は身をもって体験しないと分からない。
そう考えると、授乳する→おっぱいが作られる→授乳する→おっぱいが作られる…の繰り返しを身をもって体験するのは良い経験だと思う。
母乳が少しでも出てちょっとでも授乳が経験できるならば、少しの間でも授乳を経験してみても良いかもしれない。