女性は機械じゃない
かねてより書こうと思っていたこと。
それは、低用量ピルのこと。
私は低用量ピルに断固反対しているわけじゃない。
私自身は低用量ピルを飲んだこともないし、これから飲むつもりもない。
私は閉経が近い年齢だから、ピルの副作用のひとつである血栓症のリスクが若い人よりも高いから、必要もないのにピルを飲まないほうが良いと思っている。
治療上の理由でピルの服用が必要な人もいるし、望まぬ妊娠を防ぎたいならばピルで避妊したほうがよいと思う。
ピルを服用するかどうかは、女性ひとりひとりが自分で決めればよいことだ。
わたしが気になったこと
私が最近気になるのは、女性に低用量ピルの服用を勧める医師の意見だ。
・生理で悩んでいるなら、低用量ピルを。私が医師として勧める理由 | 山本佳奈
どちらの医師も、女性は生理中に集中力が低下する等、生理中のパフォーマンス低下を指摘している。
そして、仕事のパフォーマンス低下を防ぐために低用量ピルを服用することを勧めている。
彼ら医師が言うには、世界的に見るとフランス・ドイツ・イギリス等の国はピルの服用率が高く、キャリアウーマンのピル服用率は特に高いそうだ。
生理が原因で数日間、仕事のパフォーマンスが落ちるのは損失との意見である。
個人的な感想を言うと、医師がこんなことを考えているかと思うと、とても残念だ。
「コストを高める」という発想が、医師というより経営者だ。
実際、うち一人の医師は医師兼経営者である。
確かに、ピルを飲めば生理が軽くなる人もいるだろう。
けれども、ピルが体質に合わない人だって結構いる。
ピルが体質に合わない人はピルを飲むことでパフォーマンスが下がる場合だってある。
女性は機械じゃない。
生理に限らず、誰だって体調が悪い時期がある。
体調が悪いときに休みをとるよりも、まずはピルの服用を経営者から勧められるのは勘弁だ。
長い人生、薬で生理をコントロールするよりもまず、自分の体調に意識を向ける心がけが大切だと思う。
生理周期トータルで見て欲しい
機械みたいに24時間365日、同じパフォーマンスを維持することが必要なのだろうか?
男性でも体調が悪い時があるだろう。
女性の仕事のパフォーマンスについては、生理周期をトータルで見てほしい。
確かに生理中は集中力が落ちる人が多いかもしれない。
けれども、どの女性も一様に生理中に集中力が落ちる訳ではない。
それに、個人的な感想なのだけれども、生理が終わってから排卵があるまでの間は、生理中のパフォーマンス低下を補うかのように頭も体も活動的になる。
1か月トータルで見れば、生理期間の数日間のパフォーマンスの落ち込みは他の日に挽回できるように思える。
それに実際は、ピルの服用率が高い国ばかりでない。
ピルの服用率の話になると必ず話題にのぼるのがフランス・ドイツ・イギリスあたりの国だ。
けれども、世界的にみると、ピルの服用率が高いのは主にヨーロッパであって、フランスやドイツみたいにピルの服用率が高くない国は世界各地にある。
一般に、ヨーロッパ以外の国ではピルの服用率はフランスやドイツほど高くない。
しかも、ヨーロッパでもピルの服用率が低い国(イタリアなど)もある。
ピル服用率が高い国ばかりではない
図録▽世界の避妊法比較というサイトがある。
少し古いサイトなので、このサイトには「日本では事後避妊薬(アフターピル)が承認されていない」と書かれているが、現在ではアフターピルは日本で承認されている。
図録▽世界の避妊法比較を見ると、ピルの服用率はヨーロッパで高く、アメリカはそれほどピルの服用率は高くない。
アジアの国々では女性不妊手術がメインだが、アジアであってもインドネシアでは埋め込み型避妊薬が主流だということがわかる。
つまり、現実として、主要な避妊法は世界各地でそれぞれ異なるのだ。
だから、世界中のどこの国でもピルの服用率が高いわけではない。
仕事や学業のパフォーマンスを上げるためのピル服用
女性の中には生理期間中は寝込んでしまうほど生理が重い人もいる。
そういう場合は医師の診察の元でピルを処方してもらえばQOLも向上するだろう。
若い女性ではパートナーがいる場合、低用量ピルの服用は望まぬ妊娠を防ぐことができて有効だろう。
けれども、生理が順調で重い生理痛もなくて、特定のパートナーがいない女性まで低用量ピルを服用しなければならない時代になってしまうのだろうか。
生理期間中は1か月のうちたった数日間だ。
たった数日間、いつもよりちょっと静かにしていれば難なく過ごせるものを、低用量ピルを強要されてまで仕事のパフォーマンス向上を強要される社会はイヤだ。