産後ケアに従事する人たち

長男を出産した頃「産後ケア」はまだ普及していなかった。

そういえば、長男を出産した当時、姑から「産後、お金を払ってケアをしてくれるサービスができたらしい」という話を聞いたのを思い出した。

当時は何だそれ?と思った。

けれども、どうやらそれは産後ケアのことだったようだ。

長男を出産した当時、その産後ケアの料金はかなり高額で、1か月フルで利用すると数十万だったと思う。

ただ、ベビーシッター料金を考えれば、1か月フルに利用して数十万という利用料は法外に高額とは言えない額だ。

とはいえ、その金額ならば富裕層しか利用できないけど。

 

産後ケアの普及

一方、次男を3年前に出産したときは「産後ケア」という言葉が徐々にメジャーになり始めた頃だった。

実際に、産後ケアについて公的補助を出している自治体は東京にはある。

東京では産後ケアが少しずつ浸透しはじめている。

実母が地方に住んでいてしかも仕事を持っていると娘の産後の世話に行くのが難しいというケースが都市部では多い。

私が実際、産後ケアを利用してすごく良かったという話は以前書いた(産後ケアで気づいたこと)。

ママ達からも産後ケアを利用して良かったという話はよく聞く。

産後ケアに公的補助が出る自治体があるということは、東京に住んでいるメリットのひとつだと思う。

 

産後ケアに従事する人たち

次男を出産した後、在宅の産後ケアも利用したし、産後ケア施設もいくつか利用した。

それに、生後1か月頃に自治体から派遣された助産師さんが我が家を訪れた。

 

母乳育児推進派

そこで気づいたのは、産後ケアに従事する人のうち結構な割合が母乳育児推進派の人たちだということ。

もちろん、産後ケアに従事する人のすべてが母乳育児推進派というわけではない。

それに、私が関わった産後ケアに従事する人は母乳育児を強引に奨めてくることはなかった。

しかし、実際は、産後ケアに従事する人はかなりの割合で母乳育児推進派だと私は思う。

産後ケアに従事する人は、かなり高い確率で実際に母乳育児(しかも母乳オンリー)を選択した人ではないかと思う。

 

産後ケアに従事する人たち

産後ケアというのは、産後に不安を抱えがちな母親をサポートする仕事である。

産後ケアに従事する人たちは、困っている人を助けたい・人の役に立ちたいと思う人たちだ。

実際、私が出会った産後ケアに従事する人たちは皆優しく、人を助けることに喜びを見出せるような人たちだった。

ただ、産後ケアに従事する人たちのなかに、お師匠さんが言ったことを鵜呑みにしている人が結構いたのがちょっと気になった。

「〇〇先生(お師匠さん)がこう言っています」という話を何度か聞いた。

産後ケアに従事する人の中にお師匠さんの言うことをそのまま受け売りしている人が結構いる。

こういうことはどの分野でも起こる。

産後ケアという職業がまだ普及しはじめたばかりで、産後ケアに従事してから日が浅い人が多いのだろう。

だから、お師匠さんの言ったことをそのまま受け売りする。

産後ケアに従事している人たちが経験をどんどん積んで、自分の経験を通してものを考えるようになれば、自分の経験からものを語れるようになる。

私が住む周辺では産後ケアの利用希望者が多く、産後ケア従事者の需要が追い付いていないようだ。

産後ケアをこれから利用する予定の人で母乳育児にそれほどこだわっていない人は、産後ケア従事者のうち結構な割合の人は産後ケアについて経験が浅い人たちで、まだ自分なりの考え方の基盤が確立していないと考えて接したほうがいいと思う。

 

中立的なスタンスの助産師さんとの出会い

そんな中、産後ケア施設のひとつで、ラクテーション・コンサルタントの資格をもつ助産師さんと出会った。

その助産師さんは過度に母乳育児を押し付けるタイプではなく、どのような授乳がしたいかについて母親の希望をまず優先するというスタンスだった。

そういうスタンスをお持ちの助産師さんはそう多くないと感じた。この助産師さんに出会えて良かったと思った。

次男の場合、当初は母乳とミルクの混合だったけれど、次男の成長具合を見ながら徐々に母乳の割合を増やしていきたいというのが私の希望だった。

その助産師さんは「ゆくゆくは母乳オンリーにしたい」という私の希望を聞いたうえで、次男の体重の増加具合を助産師さんに定期的に確認してもらいながら、2か月ほどかけて慎重にミルクの割合を徐々に減らしていき、ついに母乳オンリーにすることができた。

母乳育児の良さが世間に浸透している今でも、赤ちゃんの体重の増えが少なめだと、母乳の分泌を増やす措置を講ずるよりもまずミルクを足すよう指示する病院は今でも少なくない。

実際、私自身が産後ケア施設を利用してみて、母乳とミルクの混合のママは今も案外多いと思った。

そういう、ミルクを足すよう指導される病院を退院した母親達が、母乳育児信仰の産後ケア従事者からミルク使用に否定的な言葉を言われショックを受けた、という話を産後ケアに行ったときに何回も聞いた。

私は、次男が生後2週間の時点で体重があんまり増えていなかったことがかなりショックだった。

そのせいで、ミルクを足すのを完全に止めることにかなり慎重だった。

もし産後ケア従事者からミルクを足すことに否定的な言葉をかけられたらショックだったと思う。

 

中立的なスタンスの助産師さんを探す

それほど母乳にこだわっていない人は、過度に母乳を勧めない、母乳育児に対して中立的なスタンスをとっている助産師さんを見つけるのが良いと思う。

そういう助産師さんを探すこと自体、結構大変かもしれないけれど、探せばいると思う。

それに、赤ちゃんが母乳・ミルクだけを摂取するのは最初の半年だから、離乳食を始める時期が来るまであっという間だ。

ミルク自体があまり好きではない赤ちゃんもいる(私の実妹がそうだった)。

母乳にするかミルクにするかと悩んでいる人に伝えたい。わりとすぐに離乳食開始の時期は訪れるから、大丈夫だよ、と。

 

まとめ

私は母乳育児を選択したし、母乳のメリットは大きいことは確かだと思う。

けれども、産後ケア従事者の中に母乳育児信仰者が多いのはやっぱり気になる。

出産した病院のスタンスと産後ケア従事者のスタンスがあまりにも違うことに戸惑うママ達は少なくない。

私自身、母乳育児を推進している日赤で出産して、日赤では母乳オンリーの人たちばかりだったので、母乳育児が当たり前だと思っていた。

けれども、他の病院では必ずしもそうでなく、実際は母乳とミルクの混合の人が多い。

出産した病院ではミルク使用を否定されなかったのに、産後ケア従事者が母乳育児にこだわっていたら、母親達は正直、戸惑うだろう。