アメリカでのDNA検査流行について思うこと(その1)
ご存知の方は多いと思うが、アメリカでは数年前からDNA検査が流行しているそうである。
今更ながらわたしは最近そのことを知った。
この手のDNA検査はインターネットで販売されており、約1万円ほどで購入できる。
自宅で少量の唾液を採取して検査元に送ることでDNA検査をしてくれるそうだ。
この手のDNA検査で最も有名なのは23andMeという会社だ。
人種のるつぼであるアメリカでは、DNA検査で自分のルーツが思いがけないところにあることを知ることもある。
しかしその反面、DNA検査で「知らなくてもいいこと」を知ってしまいショックを受けることもある。
DNA検査は自分探しの旅
DNA検査は自分探しの旅でもある。
アメリカでのDNA検査の流行に私がなぜ興味を持ったのかというと、アメリカの奴隷制度について興味を持ったからだ。
わたしがアメリカの奴隷制度について興味を持ったきっかけは、たまたまアメリカ奴隷女性が書いた本(ある奴隷少女に起こった出来事・ハリエット・アン・ジェイコブス著)を読んだことだ。
ある奴隷少女に起こった出来事(ハリエット・アン・ジェイコブス著)という本はとても印象的だったので、また別の機会に取り上げるつもりだ。
アメリカでDNA検査を受けた人の声
アメリカで流行中のDNA検査を受けた人の声をまとめてみた(参考:自分のルーツが知りたくて。遺伝子検査が流行っているアメリカで人生が変わるほどの衝撃を受けた12人)。
1.自分は白人だと思っていたのに、実は黒人の血が混じっていた
自分は白人と思っていたが、実は黒人の血が混じっていたケースは稀ではないそうである。
見かけは白人でも、祖先の誰かが黒人との混血だった場合に黒人の血が混じっていることがよくあるそうだ。
昔の米国に存在した奴隷制度が現在も暗い影を落としていることがよく分かる。
2.自分は黒人だと思っていたのに、実は白人の血が混じっていた
黒人家庭では、祖先にネイティブアメリカンがいてその血が混じっていると先祖代々言い伝えられていることが多い。
けれども、実際はネイティブアメリカンの血ではなく白人の血が混じっていたことがDNA検査で分かり、先祖からの言い伝えは嘘だったことが判明する。
上述の「白人だと思っていたのに黒人の血が混じっていた」ケースと同様、奴隷制度が落とした米国の影である。
3.托卵がバレた
アメリカで流行中のDNA検査を受けて、実子だと思っていた子どもと父親の血が繋がっていないことが判明したケースがあるそうだ。その結果、両親が離婚するという悲劇が生じることもある。
4.養子だった人に血のつながりがある親戚がいることが判明した
アメリカで流行中のDNA検査では、自分とDNAのつながりが濃い人が表示されるらしい。
養子制度が普及しているアメリカでは、自分の実親のことを良く知らない、自分のルーツが分からない人もたくさんいる。
DNA検査をすることで、血のつながりがある親戚が判明して嬉しかった・自分が出自を知ることができて嬉しいという声も多くある。
養子大国であるアメリカならではの事例だと思う。
日本人がDNA検査した場合
アメリカで流行中のDNA検査を日本人が受けた結果がいくつかのサイトで紹介されている。
アメリカで流行中のDNA検査を日本人が受けた場合、日本人の割合が80%or90%以上・その他は韓国人か中国人が数%という結果になるそうだ。
日本人がDNA検査をした場合、アメリカ人がDNA検査を受けたときのような意外性がない場合が多いようだ。
この手のDNA検査は日本人にとっては検査結果に意外性が少なくて面白みがないので日本では流行しない可能性が高いと思う。
ただし、数年前、ある芸能人夫婦のケースで話題になった「托卵」かどうか判別するにはこの手のDNA検査は有効かもしれない。
話題になったその芸能人夫婦のケースでは、子どもが父親の実子ではなかったことがDNA検査で判明して大きな話題となった。
実際にアメリカでも、子どもが父親の実子でなかったことがDNA検査で判明して夫婦が離婚に至ったケースが報告されている。
DNA検査のリスク
DNA検査の流行により、米国人の相当数(一説には1,500万人以上)がこの手のDNA検査を受けたそうである。
しかし、DNA検査によって判明した自分の遺伝子情報が薬の開発に無断に利用されたり、特定の配列を持っているがゆえに医療保険に入れなかったりというリスクが指摘されている(遺伝子検査会社23andMeの真の狙いはあなたの遺伝子情報)。
DNA検査だけでなく、一般に検査結果は個人情報なので、みだりに第3者に提供しないよう心がけるべきだと思った。
アメリカでのDNA検査流行について思うこと
アメリカでDNA検査が流行していて、そのDNA検査の結果を知るにつけ、アメリカ社会に奴隷制度が与えた影響が今もDNAとして色濃く残っていることを感じずにはいられない。
そして、奴隷制度と関連して、養子大国アメリカという国の特殊性を感じずにはいられない。
これらの点については後日また触れたい。
米国のDNA検査に関するサイト
DNA検査での「自分探し」に米国人が熱狂 人種差別助長への警鐘も
自分のルーツが知りたくて。遺伝子検査が流行っているアメリカで人生が変わるほどの衝撃を受けた12人