HPVワクチン・9価ワクチン定期接種化まで待つべきか

2021年2月に9価HPVワクチン「シルガード9」が承認された。

HPVワクチンとはいわゆる「子宮頸がんワクチン」のことだ。

 

 HPVワクチンの種類

HPVワクチンは現在、2価ワクチン・4価ワクチン・9価ワクチンの3種類が日本で接種可能だ。

2価・4価・9価というのは、ワクチンで感染を防ぐことができるHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)の型の数だ。

・2価ワクチンは16型と18型の2種類

・4価ワクチンは6型11型16型18型の4種類

・9価ワクチンは6型11型16型18型31型33型45型52型58型の9種類

のHPV型の感染を抑える。

 

 HPVワクチンの定期接種の現状(2021年6月現在)

2価ワクチン・4価ワクチンは2021年6月現在、小学校6年~高校1年生の女子に対して定期接種の対象で公的助成が受けられ、無償で接種できる。

一方、9価ワクチンは2021年に承認されたばかりで、2021年6月現在は公的助成を受けられない(無償で接種できない)。

9価ワクチンは今後、定期接種化に向けて動いていくとみられている。

 

 9価HPVワクチン:自費接種のみ(2021年6現在

2021年6月現在、9価のHPVワクチンを接種したい場合は自費で接種することになる。

いくつかの医療機関のウェブサイトを調べてみると、自費診療なので価格にばらつきはある。

9価HPVワクチンの価格は概ね1回3万円前後・3回接種で約10万円

なかには1回接種2.5万円の医療機関もあれば、1回接種3.5万円もある。

9価HPVワクチンは自費で接種するとそれなりのお値段なのだ。

だからこそ、9価HPVワクチンの早期の定期接種化(公費助成)実現を望む声は大きい。

 

9価HPVワクチンのメリット

たとえ高額であっても9価HPVワクチンには大きなメリットがある。

9価HPVワクチン接種により、子宮頸がんの原因となるHPV型の約9割(88.2%)の感染を抑えることができるのだ。

一方、2021年6月現在で定期接種の対象となっている2価・4価HPVワクチンでは約6割のHPV型しか発症を抑えられない。

2価・4価HPVワクチンでは、子宮頸がんの原因となるHPV型のうち16型18型の感染を抑えることはできる。

けれども、2価・4価HPVワクチンを接種しても、16型18型以外の型のHPVに感染すれば、子宮頸がんを発症する可能性がある。

だから、より多くのHPV型の感染を防げるという点で、2価4価ワクチンよりも9価ワクチンを接種したほうが望ましいといえる。

 

HPVワクチン接種のポイント1:公的助成を受けられる年齢が決まっている

HPVワクチンは公的助成を受けられる年齢が決まっている

現在、小学校6年生~高校1年生の女子に対してHPVワクチン(2価ワクチン・4価ワクチン)を接種する場合、公的助成が受けられる。

つまり、小学校6年生~高校1年生の女子はHPVワクチン(2価ワクチン・4価ワクチン)を無料で接種することができる。

けれども、高校1年生を過ぎて高校2年生になるとHPVワクチンを無料で受けることができないのだ。

しかも、HPVワクチンは3回接種である

1回目の接種からおよそ半年後に3回目を接種する必要がある。

3回目の接種が高校1年生のうちに受けられるように接種スケジュールを組む必要があるのだ。

 

HPVワクチン接種のポイント2:9価HPVワクチン定期接種化を待つべきか

上述したように、2価ワクチン・4価ワクチンよりも9価ワクチンのほうがより多くのHPV型の感染を抑えることができる。

ところが、9価ワクチンは2021年6月現在、公的助成の対象になっていない。

ただ、9価ワクチンは数年後に定期接種化される可能性がある

2価ワクチン・4価ワクチンを公的助成を受けて接種すると、その後に9価ワクチンを接種する場合は自費で接種することになる。

上述の通り、9価ワクチンを自費で接種すると約10万円とかなり高額だ。

 

HPVワクチン:とり得る方策

現在小6・中学生の女性は、9価ワクチンが定期接種化されるまで接種を待つという方法もあり得るだろう。

たとえば、高校1年生の夏まで9価ワクチンの定期接種化を待つつもりでいて、

・高校1年生の夏までに9価ワクチンが定期接種化されたら、その時点で9価ワクチンを接種する

・高校1年生の夏までに9価ワクチンが定期接種化されなかったら、2価ワクチン・4価ワクチンを公的助成を受けて接種するか、9価ワクチンを自費で接種するか決める

という方策もあり得るだろう。

 

ワクチンを接種しても「子宮頸がん検診」を受けることが大事

新しく承認された9価HPVワクチンで、子宮頸がんの原因となる約9割のHPV感染を防ぐことはできる。

裏を返せば、9価HPVワクチンを接種してもHPVの感染を完全には防げない。

子宮頸がんの原因となる残り1割のHPVの感染は9価HPVワクチンでも防げないのだ。

となるとやっぱりワクチンだけでなく「子宮頸がん検診を定期的に受けること」が大事なのだ。