2022年6月26日の読売新聞日曜版・日本の家族について

2022年6月26日の読売新聞日曜版に、日本の家族について、家族社会学者の山田昌弘氏の見解が掲載されていた。


出典:2022年6月26日付・読売新聞日曜版

 

日本の少子化対策

山田教授は

「日本のここ30年間の少子化対策は正規雇用女性の子育て支援に集中し、結婚支援を行ってこなかった」

と述べる。私もこの点に同意する。

正規雇用女性に対しては、育児休業の期間延長・育児休業給付金の増額・保育園の整備など、
ここ30年の間に支援の幅が広くなった。

育児休業制度が手厚くなっていた経緯が次のサイトに分かりやすく説明されている。

育児休業制度の歴史をふりかえる | 大安吉日 (hre-wgns.com)


出典:育児休業制度の歴史をふりかえる | 大安吉日 (hre-wgns.com)

 


出典:育児休業制度の歴史をふりかえる | 大安吉日 (hre-wgns.com)

 

この30年の間、育児休業期間は徐々に長くなり、育児休業給付金の額も徐々に増額されていった。

その一方で、非正規雇用やフリーランス女性については、仕事が打ち切られば育児休業や給付金も受けられないのはこの30年の間、変わっていない。

この30年間、もともと恵まれた立場にいる女性だけがますます恵まれるようになった、ということだ。

 

結婚支援

そして結婚支援。

欧米では、1人より2人で暮らしたほうが生活が楽だからという理由でパートナーと暮らし始める。

けれども、日本では親同居が一般的で、その方が居心地が良くて生活水準も高い場合が多い。だから日本では実家を出てパートナーと同居するという方向に働かないことが多いのだ。

「日本では世間体意識が強く、生活水準が下がるリスクがある結婚を未婚者がわざわざ選ばないのが日本の未婚化の原因だ」と山田教授は述べている。

山田教授は講演で、中高年の親御さん達に対して、
「お子さんが2人いる人は、うち1人は結婚して離婚しないけれども、もう1人は結婚せずに
家に居続けるか、離婚して戻ってくる可能性が高い」
と話すという。

けれども、現実はもっと進んでいると思う。

わたしの母が通うデイサービスの利用者を見ていると「中高年の子ども2人といまだに同居している」高齢者が結構居ると母は話す。

そういう利用者のひとりに母が話を聞いたところ、
「以前は、家から出て自立するように・早く結婚するように子どもに口うるさく言っていたけれども、子どもから『結婚の強要は人権侵害』と反論されてからは、結婚をしつこく迫るのは止めた」
という返答があったそうだ。

 

家族の概念

上述の読売新聞日曜版で山田教授は「家族の概念にもっと多様性を認め、ひとり親・再婚家庭・養親・同性婚など、多様な家族の形態を認めることが大事だ」と述べる。

 

家族経営食堂

ところで、今日の夕方のワイドショー番組で「家族経営の地元人気食堂の奮闘記」を特集していた。

「両親が始めた食堂を息子たちが継いで家族一丸となって奮闘する」食堂がテレビに映っていた。

夕方のワイドショーはこの手の家族経営の食堂の奮闘記が大好きだ。視聴者の多くは高齢者で、きっと視聴率が良いんだろう。この手の食堂奮闘記は大家族ものとも共通する雰囲気がある。

なんだかんだ言って、日本人はこの手の家族モノのドキュメンタリーが好きなのだ。

家族経営の食堂の奮闘記が今も好んで放映されていることを鑑みると、日本人の家族の概念が簡単に変わるとは到底思えないのだが。