保育園が嫌いだった

わたしは保育園が嫌いだった。

保育園はちっとも楽しくなかった。

ともだちと遊んでいるときは楽しかったけれど、降園時間までずっと保育園に居なければいけないのが苦痛だった。

お昼寝のとき、ちっとも眠くないのに目を閉じて静かにしていなければならないのが苦痛だった。

そして、保育園には「自分のスペース」がないのが苦痛だった。

 

わたしは「保育園じゃなくて、幼稚園に通いたい」といつも思っていた。

幼稚園ならば、お昼過ぎに家に帰れるからだ。

わたしの家は幼稚園の近くにあって、毎日大勢のこどもたちが自宅前を通り過ぎるから、幼稚園に通うこどもたちはお昼過ぎに帰れることをわたしは知っていた。

「幼稚園みたいにお弁当を食べてすぐ帰りたい」とわたしはいつも思っていた。

 

それでも時は過ぎ、保育園を卒園できる日がやってきた。

わたしは「もう保育園に通わなくていい」と思うと、うれしくて仕方がなかった。

けれども、わたしの親はこともあろうことか、わたしを学童クラブに入れた。

 

学童クラブは保育園みたいなところだった。

いや、学童クラブは保育園よりももっと無機質で暗い雰囲気だった。

学童クラブの先生方はなんというか事務的で「与えられた最低限の仕事だけする」みたいな感じだった。

 

同級生(小1)のほとんどは学童クラブに通っていなかった。

学童クラブを利用していた1年生は当時、わたしを含めてふたりだけだった。

保育園に通っていたのに学童クラブに通わないのはなぜなのだろう?と当時は不思議に思った。

後でわかったのは、その頃に保育園を利用していたのは自営業で自宅が店舗兼住宅の家庭が多く、小学生になれば学童クラブに通わなくても自宅で過ごせるからだった。

 

「もう保育園みたいなところはうんざりだ」と思っていたのに、「今度は学童クラブか」と思うと、がっかりした。

学童クラブは保育園と同じで「決まった時間まで居なければいけない」・「自分のスペースがない」、このふたつがつらかった。

 

わたしは学童クラブが嫌だったので、ずる休みをした。

連絡せずに学童クラブを休む、いわゆる無断欠勤である。

そうしたら、わたしが勝手に学童クラブを休んだことを、学童クラブが担任の先生を経由して親に連絡した。

学童クラブを勝手に休んだことで、わたしは担任の先生からも親からも叱られた。

でも、暗くてじめじめした雰囲気の学童クラブにどうしても行きたくなかったので、「もう学童クラブには行かない」と宣言し、放課後は自宅で過ごすことにした。

その結果、とうとう学童クラブをやめることができた。

 

保育園が大好きな子どももたくさん居るし、保育園が大嫌いな子どももたくさん居る。

わたしとは対照的に、長男は保育園が大好きな子どもだった。

保育園が好きか嫌いかは人それぞれ。

でも、こどもが保育園に行きたがらない・それでも、どうしても保育園にこどもを通わなければいけないならば、せめて、保育園に居る時間をできるだけ短くしてあげてほしい。

それだけでも、こどもの気持ちは少し軽くなるはずだから。