我が家がシュタイナー幼稚園を断念した理由
シュタイナー幼稚園を見学した感想
シュタイナー幼稚園の数
別の記事(シュタイナー教育)にも書いたが、我が家は幼活で、わりと近場のシュタイナー幼稚園を見学した。
シュタイナー幼稚園は日本全国でそう多くはないようだ。
シュタイナー教育は日本全国になかなか浸透していかないようである。
独特の世界観があるせいだろうか。
シュタイナー教育は特定の宗教と結びついている訳ではない。
ただドイツが発祥の地であることもあり、キリスト教の影響は受けているようだ。
自然志向
シュタイナー教育では自然から学ぶことを重んじている。
見学したシュタイナー幼稚園のお庭には色々な植物が生い茂り、都会にいながら自然を感じられる素晴らしい空間が広がっていた。
おもちゃは自然素材のものだけだった。
出されるおやつやお茶など、子どもが口にするものはできるだけオーガニックのものだった。
見学したシュタイナー幼稚園で働くスタッフの方々も自然志向の方が多く、好感を持てた。
ただ、シュタイナー幼稚園を見学してみて、そこの幼稚園というよりも、シュタイナー教育自体についていくつか違和感を持った。
今のところ、我が家はシュタイナー幼稚園を幼稚園選びの選択肢から外そうと思っている。
今回の記事では、シュタイナー教育について私が感じた違和感について取り上げる。
シュタイナー教育について感じた点1:「べからず」が多い
シュタイナー幼稚園を見学して「べからず」が多いことが気になった。
シュタイナーの教育観を今の日本でそのまま実践しようとすると、どうしても「〇〇するべからず」が多くなってしまうのは致し方ないのかもしれないが。
「べからず」の例
・子どもにはできるだけテレビを見せない
・電子ゲームをさせない。
・子どもには7歳(小学生)になるまで字を教えてはいけない。
・プラスチック製のおもちゃはできるだけ使わない。
・パステルカラーの洋服を着るのが望ましい。キャラクターものの洋服は着ない。
・「ファ」の音は不安定だからダメ。「レ」「ミ」「ソ」「ラ」「シ」の5音からなるペンタトニックの歌を歌う。
正直な感想
上に挙げたように、家庭生活ではテレビの視聴という生活習慣から服装まで規定があり、学習面ではおもちゃ、字の習得や音楽活動にまで規定がある。
正直に言うと、ここまで色々と厳格に決まっていることについて、私は息苦しさを感じる。
字については、習得の遅い子どもと早い子どもがいる。
7歳まで字を教えないことは、字の習得が元来遅めの子どもにはよいだろう。
ただ、字の習得が元来早めの子どもは普通の生活を送っていれば、黙っていても字を覚えてしまう。
7歳まで字を教えないというのは、字の習得がもともと早い子どもの可能性・個性を奪うような気がした。
音楽教育についても同様だ。
音楽の才能がある子どもにとっては、シュタイナー教育をすることで聴く曲が限られるならば、その子ども自身の可能性・個性を奪いかねないと感じた。
シュタイナー教育について感じた点2:「型から入りたい人にはおすすめかも」
シュタイナー教育では、色々なことについて型がかなり決まっているように感じる。
型から入りたい人はシュタイナー教育に違和感がないのかもしれない。
一方で、型にはめられると息苦しさを感じる人や「なぜそうするのか?」と疑問を持つ人にはシュタイナー教育は不向きかもしれない。
「なぜそうするのか?」と疑問を持つことは哲学に通じる。
哲学者であるシュタイナーが提唱する教育なのに、疑問を持つ人には不向きだとは変な話ではある。
「型から入る」例
・保育者はみんなロングスカートを履いている(保育者がロングスカートを履いていると、子どもが手でスカートを持てるため安心するというのがその理由だと聞いた)
・パステルカラーの布が貼られた、間接照明の保育室
・ウォルドルフ人形と呼ばれる、鼻がない人形(鼻があると表情が固定されて子どもの想像力を奪うため、鼻がないと聞いた)
・ペンタトニック・にじみ絵など、音楽や美術の表現技法が決まっている
・オーガニックの食べ物が良いとされている
・手仕事の重視
違和感
シュタイナー幼稚園で見かける、手仕事で作られた作品は本当にいいものが多いと思った。
ただ、音楽や美術の表現技法が決まっていることが、想像力の妨げになるような気がした。
それに、シュタイナー幼稚園のスタッフが着ているロングスカートはまるで制服のように感じた。
まとめ
シュタイナーの教育観「一人一人の個性を尊重すること」・「一人ひとりの成長のペースに合わせること」・「ゆったりとしたペースで日々の生活を送ること」・「自然素材のおもちゃで遊ぶこと」は子どもにとって理想的なことだ。
ただ「ちょっと型にこだわりすぎかも」というのが、シュタイナー教育に対する私の正直な感想だ。
あと、シュタイナー幼稚園で幼児期を過ごしたのち、普通の公立小に入学した場合、相当大きなカルチャーショックを受ける気がした。
「子どもは柔軟性があるから大丈夫」とシュタイナー幼稚園の先生方はおっしゃる。
ただ一般に、男の子は女の子に比べて柔軟性が低い(つまり融通が効かない)。
だから次男をシュタイナー幼稚園に入れるのはどうしても躊躇する。
幼稚園を卒園した後にシュタイナー学校に入学したいならばシュタイナー幼稚園に通うのも選択肢のひとつだろう。
ただシュタイナー学校は私学なのでそれなりの学費がかかるし、シュタイナー学校が限られた場所にしかないので引越しが必要になる。
シュタイナー学校への進学は経済的にゆとりがないと難しい。
だから我が家はシュタイナー幼稚園に通うのではなく、できる範囲でシュタイナー教育の考え方を家庭内で実践していこうと思う。
できる範囲で自然素材のおもちゃを使うように心がけているし、テレビの視聴も控えめにしてゆったりと過ごす時間を作るようにはしている。
とは言うものの、長男が購入した大量のプラスチックおもちゃがそばにあって実行できていると言えない。
できる範囲でシュタイナーの考えを取り入れて子育てをしたい人には、たとえば、書籍「おうちでできるシュタイナーの子育て」(クレヨンハウス編集部)がある。
この本にはシュタイナーの世界観が簡潔に書かれており、読みやすくいので初心者にはおすすめだ。