スポーツ強豪校の進路-そこには選択肢がない
わたしの親類は、あるスポーツの強豪校に通っている。
通っているのは、名前を聞けば誰でも知っている強豪校だ。
そこの学校では、スポーツ部の出身者は成績が基準を満たせば推薦で大学に進学し、進学先の大学でそのスポーツを続けるのが常らしい。
ところが、そこの学校では、推薦で進学する大学の学部はあまり選べないそうだ。
なぜなら、どこの大学のどこの学部の推薦があるのか毎年分からないからだ。
スポーツ部の出身者は、まずそのスポーツを続けることが最優先で、教科内容で進学先を選ぶよりも、知名度が高い大学の推薦から選んでいく。
進学先が法学部なのか経済学部なのか文学部なのかはあまり興味がないようだ。
そうなると、進学先の大学での学業に興味がわかないのは当たり前。
「単位が取れれば良い」・「卒業できれば良い」という考えに自ずとなる。
留年しないで卒業できれば御の字だ。
強豪校のカリキュラム
強豪校のスポーツ部に在籍すると、練習と試合に多くの時間が割かれる。
そうなると、将来のためにどんな科目を履修するのかよりも、卒業するために単位を取ることに重点が置かれる。
スポーツ強豪校では、スポーツ部を強くするための練習と試合が最優先だからだ。
高学力である一部の学校を除けば、スポーツ強豪校では学校の勉強に力を入れていない。
結果、高校の3年間・大学の4年間の計7年間がスポーツ漬けになる。
もっと言えば、中学からスポーツ強豪校に通っていれば、中学から大学までの計10年間、スポーツ漬けだ。
将来そのスポーツでプロとして食べていくトップアスリートはそれでいいだろう。
けれども、大多数は大学を卒業してふつうの社会人として社会に羽ばたいていくのだ。
高校で好きな教科・得意な教科をじっくり履修する機会がないまま、スポーツをやるがために当人がさほど興味がない大学の学部に進学していくのを見るともったいなく感じる。
そこに自分の選択肢はあるのだろうか
スポーツ強豪校(中学・高校)に進学する際、そのスポーツのクラブチームの監督やコーチの意向が反映されることも多い。
中学生・高校生の段階では、監督やコーチの意向を差し置いて自分の意思を貫いて「この学校が良い」と決められる子ばかりではない。
進学先の強豪校で芽が出なくても、お世話になったクラブチームの監督の顔に泥を塗らないよう、そのスポーツを止めるわけにはいかないのだ。
スポーツ強豪校の場合、学校選択にこども自身の選択肢がない。
スポーツに打ち込む親類の話を聞いていると、大学進学の段階でスポーツを一度リセットしても良いんだよと思う。
自分がやってみたいことを真剣に考えてから大学を選び、大学に合格し進学してからスポーツに励む道だってあるのだ。