野武士的天才:伊藤みどりと野口みずき
英才教育により大成したスポーツ選手が目立つようになって久しい。
幼少時から親に手塩をかけて育てられるスポーツ選手が多い中、「野武士のような天才」で忘れられないのが「伊藤みどり」と「野口みずき」だ。
伊藤みどりと野口みずきは英才教育で作り上げられた選手とは違う、天性のものを感じる。
伊藤みどり:山田コーチとの二人三脚
フィギュアスケートはただでさえお金がかかるスポーツとして知られている。
フィギュアスケートはどちらかというとスポーツというよりバレエやピアノなどの芸術と同じだ。
こどもにお金をかけて英才教育を施す親が多いフィギュアスケート界で、伊藤みどりは異色の存在である。
なにせ当時の伊藤みどりのジャンプは周りの選手とはレベルがまったく違う、いわば異次元の世界にあった。
今は結婚して幸せに暮らしている伊藤みどりだが、詳しくは語られていないが、伊藤みどりは幼少時、家庭環境に恵まれていなかったといわれている。
そんな中で、伊藤みどりのコーチとして有名な山田コーチは、伊藤みどりが子どもの頃自宅に住まわせて面倒を見ていた。
試合中継で伊藤みどりの横には常に山田コーチの姿があったのをよく覚えている。
山田コーチは、家庭環境に恵まれない伊藤みどりになんとかスケートでご飯を食べられるよう、スケートで生計を立てられるようにしてあげたいと思っていた。
私は、あの子(伊藤みどり)が天才だったから手元に置いたのではありません。ただ、幸せにしてやりたかった。
天才だったから手元に置いたのではあ…… - 山田満知子の名言 - Number Web - ナンバー
伊藤みどり、浅田真央、村上佳菜子らを見出し、育ててきたコーチの山田は、「みどりは、私にとっていちばん印象に残る選手です。みどり以外にない。私が今、こうしていら…
そう、伊藤みどりからスケートを取ったら何が残るのだろうか。スケートがなかったら伊藤みどりの人生はまったく違うものになっていたのだろう。
野口みずき:きょうだいからのサポート
野口みずきの女子マラソン日本記録は2023年4月現在、17年間破られていない。
日本記録を樹立した当時の野口みずきがもし、最近の選手が履く厚底シューズを履いていたら、もっと良い記録が出たはずだと言われている。
野口みずきもまた、経済的に恵まれない家庭に育ったといわれている。
4人きょうだいで、ほかのきょうだいは高校に進学できなかったが「みずきだけは高校に進学させてあげてほしい」というきょうだいからのサポートもあって、野口みずきは高校に進学できたといわれている。
野口みどりは地味な選手だけれど、そんな地味な選手が17年間も破られない女子マラソン日本記録を持っていて、オリンピックで金メダルを獲得していることが嬉しい。
周囲の強い思いを胸にオリンピックの檜舞台に立ち、見事にメダルを獲得したのが「伊藤みどり」と「野口みずき」なのだ。