読書感想『脳を鍛えるじゃれつき遊び』

読書感想 脳をきたえる「じゃれつき遊び」(小学館、2004年)

著者:正木康雄・井上高光・野尻ヒデ

 

どんな人向き?

2歳~小学校低学年の子どもを持つ保護者、保育園や幼稚園の先生、小学校低学年を担任する学校の先生や学童の先生。

この本には、体を使った親子遊びがたくさん紹介されている。

この本で紹介されている遊びは内容にもよるけれども2歳くらいからできる遊びが多い。

薄い本で読みやすいから、この本で紹介されているじゃれつき遊びをぜひ試してみてほしい。

親子遊びに限らず、保育園や幼稚園、小学校低学年の子どもと遊ぶ機会がある人に読んでもらいたい本だ。

 

著者

この本の著者は、長年幼稚園を経営してきた方々だ。

この本では、著者が経営する幼稚園で長年実践してきた遊び(じゃれつき遊び)が親子遊びとして紹介されている。

著者が経営する幼稚園では、このじゃれつき遊びを毎朝30分間行っていて、じゃれつき遊びをすると、その後の園の活動での集中力が増すそうだ。

この本でじゃれつき遊びとして紹介されている遊びのうち、「高い高い」「お馬さん」「くるりんぱ(足抜き)」は、子どもの頃、親にやってもらった経験がある人も多いと思う。

私もその1人だ。

つまり、この本で「じゃれつき遊び」として紹介されている遊びの多くは、幼稚園や保育園というものが作られるよりずっと前は、親子や歳の離れた兄弟間や子ども同士の遊びの中で自然にやっていた遊びである。

 

大切なこと

著者いわく、

・親とのアタッチメント(抱っこやスキンシップ)がなにより大切

・小学校に入学する前に、子どもが興奮するほど楽しめる、体を使った遊びをすることが大切。こういう運動を毎日続けることで、集中力がある子どもに成長する

最近は赤ちゃんの頃から子どもを保育園に預けることが増えている。

赤ちゃんの頃から保育園に通う場合、3歳まで家庭で過ごしてから幼稚園に通う子どもたちと比べて、親と触れ合う時間は当然、少なくなる。

親と触れ合う時間が少なくなれば、親とのアタッチメントは当然、減る。

もちろん、保育園に預ければ保育園の先生との触れ合いがあるけれど、家庭で育つよりもアタッチメントは少なくなって当然だ。

保育園では、国の基準でいえば0歳児は3人に1人・1歳児と2歳児は6人に1人しか保育士は配置されない。

つまり、保育園では保育士:子どもの割合は1対3、1対6だ。

子どもが親と過ごせば1対1、年の近い兄弟がいる場合でも1対2で子どもは親と触れ合うことができる。

赤ちゃんの頃から保育園に入園するのならば、子どもと触れ合う時間を作ろうと意識したほうがいいんだろう。

そうは言っても、日中働いて帰宅してもなかなか時間がとれない。私も長男を保育園に預けたときにそれを経験済みだ。

でも、子どもと触れ合う時間を作ろうと意識するだけでも違うと思う。

私は、長男が保育園に通っているときにこの本を知って、我が家では、この本に書いてあるじゃれつき遊びを実践していた。

当時、長男は本当にじゃれつき遊びを楽しんでいた。

「高い高い」は大きくなってくると重いので大変だった。

そんな長男も、もう「高い高い」などできないくらい大きく成長したけれど、長男は人とのアタッチメントが好きな子どもに成長したと思っている。

 

子どもは本来はしゃぐもの

都市部の保育園には「園児の声がうるさい」と苦情が寄せられるという話は良く聞く。

でも、そういう苦情を言う人は、そもそも「子どもははしゃぐもの」だということを忘れている。

本書を読むと「子どもは本来、楽しいときは我を忘れてはしゃぐものだ」ということを再認識させられる。

我を忘れてはしゃげるような活動を子ども時代に体験することはとても大切なことだ。

昔の子どもは、小さな頃に我を忘れて十分はしゃぐ遊びをたくさん経験していたからこそ、小学校に入学したらきちんと席に座って授業を受けることができたのではないか?と思う。

この本の初版は2004年で、現在もまだ版を重ねている。

それだけ多くの人に読まれているということだろう。