日赤の授乳指導
(注)本記事は2016年当時の記録に基づくものです。
赤ちゃんに優しい病院
私は、東京都渋谷区にある日赤(日本赤十字社医療センター)で次男を出産した。
今回の記事では、次男の出産時にうけた日赤の授乳指導について紹介する。
日赤はBFH(赤ちゃんに優しい病院)としてWHO・ユニセフから認定を受けていることをご存知の方も多いだろう。
日本ではBFH(赤ちゃんに優しい病院)として68施設が認定されており、東京都内に2施設ある(2018年8月現在)。
日赤は東京都内にある2つのBFHのうちの1つなのだ。
日赤のお産について知りたくてここにたどり着いた人は多いかもしれない。
けれど、日赤の授乳指導について詳しく知っている人はそう多くないかもしれない。
日赤でのお産で一番の特徴は「熱心な授乳指導」だと思う。
日赤で出産し授乳指導を受けた経験からいうと、正直な感想として、日赤の授乳指導は「赤ちゃんに優しいけれども、産婦には厳しい」の一言に尽きる。
日赤の授乳指導を受けた感想
私は次男は日赤で出産する前に、長男を別の病院(総合病院)で出産している。
長男を出産した病院も日赤と同じく、普通分娩の場合は助産師がお産に積極的に関わるような「自然なお産」をモットーとしている病院であった。
長男を出産した病院は日赤ほどではないものの、それなりの分娩数をこなす総合病院だ。
けれども、授乳指導は日赤とは全く違い、母乳育児にはそれほど積極的ではなかった。
詳しく言うと、長男を出産した病院は「母乳が出なければミルクを足しましょう」という方針の病院だった。
長男を出産した病院は母乳育児を否定していなかったし、一方でミルクの使用を推奨してもいなかった。
長男の1か月検診でもドクターが「ミルクを少し足したほうがいいかもしれませんね。」と言って終わり。
確か母乳外来もある病院だが、母乳外来も勧められなかった。
だから、今回のお産の後に日赤で授乳指導を受けてみて「自然なお産をモットーとしていても、母乳育児については病院間でこれほど差があるのか!」と驚いた。
広尾日赤の感想その1:とにかく熱心な授乳指導
日赤はとにかく母乳指導にはビックリするくらい熱心だった。
授乳指導のために助産師さんが手厚く配置されている。
産科自体が「母乳のために運営されている」といっても過言ではない。
母乳育児をした方なら誰でも知っていることだが、母乳は昼間よりも夜のほうが多く分泌される。
それにあわせて、深夜の時間帯に助産師さんが相当数配置されており、母乳の分泌が多い「深夜」に授乳指導が行われる。
母乳の出が良くない場合は、よほど体調が悪い場合を除き、産婦は夜中だからといって寝かせてはくれない。
夜中のほうが母乳の分泌が盛んだから、深夜の時間帯に授乳指導をしたほうが母乳はよく出るからである。
「夜は母乳指導のためにある」のだ。
私自身、お産が帝王切開だったことも影響して、帝王切開の後1日か2日は母乳育児ができなかった。
そのせいか、お産の後しばらくは母乳の分泌が良くなかった。
夜中の1時、2時、3時、明け方とマンツーマンで非常に熱心な授乳指導を受けた。
帝王切開の後、まだうまく起き上がれない状態の頃から授乳指導が始めるので、正直、非常につらかった。
けれども、そのおかげで母乳の分泌が軌道に乗ったので、予定通りの日数で退院することができたのだ。
日赤の授乳指導のスタッフには本当に感謝!である。
広尾日赤の感想その2:退院後のサポートが充実
産後2週間検診
日赤では退院後も、授乳に関するサポートが手厚い。
日本の産院では通常、退院した後の次の診察は、出産から1か月後の「1か月検診」である。
これに対して、日赤は出産から2週間後に「産後2週間検診」を行っている。
産後2週間検診のときに赤ちゃんの体重の増え方や授乳について相談することができる。
実際、次男は産後2週間検診で体重の増えが悪いことを指摘されて「ミルクを1日〇〇ml足すように(足すミルクの量がどの程度の量だったかは忘れた)」と指導された。
その後、1か月検診では体重が順調に増えていたので、問題解決!となった。
次男の体重が増えなかった理由は、母乳の分泌が次男の要求する量に足りなかったためだと思う。
次男は約4,000gで誕生したので、誕生直後からおっぱいがたくさん必要だったのだ。
けれども、私の母乳分泌量は次男の必要量を満たせなかった。
ちなみに、産後2週間検診で助産師さんに「なにか悩みがあるのか?」としつこく聞かれた。
精神的に参っていてストレスのせいで母乳の分泌が減っているのかも?と助産師さんは思ったのだろう。
けれども、私の場合、悩みなどはまったくなく、単に母乳の分泌量が足りなかっただけなのだが。
広尾日赤の感想その3:修行僧みたいな産婦たち
正直、精神的に参ってしまった
産後はできるだけ母乳育児をしたいという方は日赤をおススメする。
ふつう、病院の授乳室では、産婦たちが赤ちゃんを授乳しながら談笑している光景をよく見かける。
しかし、日赤で見かけた産婦たちはみんな、母乳の分泌を増やすことに必死だった。
まるで「修行僧」みたいだった。
産婦たちが談笑するような雰囲気は病室にも授乳室にもなかった。
私自身、出産直後から母乳の分泌が少なかったので、助産師さんの指導を受けながら「修行僧」のように母乳の分泌を増やすことに躍起になっていた。
入院中、自分自身は修行僧のように母乳の分泌を増やすことに躍起になっていた。
ただ、連日連夜の寝不足と、授乳室で「おっぱいを上手に飲んでね」と産婦が赤ちゃんに向かって語りかけている様子をみて少々精神的に参ってしまった。
その結果、友人や実妹に「早く退院したい」と泣き言メールを出してしまった。
後から思うと厳しい指導で良かった
とはいえ、長男のときは授乳指導がそれほど熱心ではなかったので、退院した後、母乳の分泌を増やすのに一人で悪戦苦闘したのを考えれば、今となっては入院中に熱心な授乳指導を受けておいて良かったと思っている。
私が長男を出産したときのように、退院後に母乳の出のことで一人で悪戦苦闘して悩む人は相変わらず多いだろう。
だから、早い段階に専門家に相談できる日赤の「産後2週間検診」は良い仕組みだと思う。
他院で出産して母乳を早々に断念した人も、もし日赤で出産して手厚い授乳指導をしていれば母乳育児を続けられる人も多いと思う。
まとめ
日赤の授乳指導は都内でも有数の熱心さである。
母乳育児にこだわりたい人には日赤を強くおススメする。
ただ、深夜の特訓を受けることになるのは覚悟すべし。