胞状奇胎だと間違えられた話

そういえば、次男の妊娠が発覚したとき、胞状奇胎の疑いがあると診断されて、MRIまで取る羽目になった

MRIを撮影した結果、胞状奇胎ではなく、正常妊娠だったことが判明した。

出産からほぼ4年が経過した。

もう時効だから書いてもよいだろう。

時効とはいっても私には非はまったくない。

なぜ次男の妊娠で胞状奇胎の疑いがあると診断されたかというと、

・妊娠初期にhcg(ホルモン)の値が異常に高かった

・経膣超音波から胎児が確認できなかった

からだ。

 

hcgの値が高かった件

妊娠初期にhcgの値が高かったのは次男(受精卵)の生命力が強かったせいだろう。

hcgの値はピーク時で50万を超えていたと思う(尿中hcgだったか血中hcgだったかは忘れた)。

変な話、40代半ばで女性ホルモンの値が落ちている私の身体の中で受精卵(次男)が生き抜くために女性ホルモンの値を一生懸命あげようとしているように感じた。

実際、生まれてきた次男はとても丈夫で体力が有り余っている子どもである。

あるいは、もしかしたら、途中まで双子で途中で片方が消えた(バニシングツイン)せいでhcgが高かったのかもしれない。

けれども、途中まで双子だったかは超音波で確認する機会がなかったので真相は闇の中だ。

 

経腟超音波で胎児が確認できなかった件

経腟超音波で胎児が確認できなかったのはおそらく、私の子宮にある大きな筋腫のせいで膣と子宮が大きく変形して経腟超音波では胎児を検出できなかったせいだ。

ただ、なぜ超音波に何も映らないのか、診察を受けた時点では原因が分からなかった。

そのせいで担当医は胞状奇胎を疑ったらしい。

けれども、経腟超音波では胞状奇胎と確定できるものは何も映らなかった。

 

胞状奇胎の疑いがあるといわれて

胞状奇胎の疑いがあると診断されたのにも関わらず、私自身の体調はつわりはあるものの、耐えられないほどひどいつわりではなかったし、不正出血や腹痛などはまったくなかった。

私自身、長男の妊娠を経験していて、次男妊娠時も長男妊娠時と変わらない体調だった。

だから胞状奇胎のような異常事態とは「まったく」思えなかった。

胞状奇胎の疑いがあると診断したベテラン医師は、こう言った。

「胞状奇胎の場合、手術で子宮を掻き出す必要があるが、細胞が取り切れずに残っていると将来癌化(絨毛がん)する可能性があるので、一刻も早く手術をしたほうがよい」

「私の場合、年齢的にいって次の妊娠は考えられないので、子宮ごと切除したほうが細胞を確実に除去できるから、子宮を全摘したほうがよい」

これを聞いて、私は、体調的におかしな感じがまったくしないので「本当に胞状奇胎かどうかを確定するためにMRIを撮ってほしい」と医師にお願いした。

その結果、まずMRIを撮影することになった。

この時点で、経腟超音波で確認できないなら、なぜお腹の上からの超音波で確認しないのだろうと疑問に思っていた。

けれども、なんとなく、担当医にそれを指摘しずらかったので黙っていた。

今思えば、MRIなど撮影せずとも、お腹の上からの超音波をしてもらったら正常妊娠だとすぐに判明したのになあ、とちょっと後悔している。

 

MRIを撮影したら

MRIを撮影してから数日後の日曜日だったと思う。

MRIの撮影結果について担当医から電話連絡があり、すぐに病院に来るように言われた。

「悪い知らせではないです」とだけ担当医から伝えられた。

悪い知らせではないと聞いて、きっと胞状奇胎ではなかったのだろう・子宮摘出だけは免れそうだと安心しつつ、病院に向かった。

病院に到着したらすぐに担当医がお腹からの超音波の検査をはじめた。

超音波診断のモニター画面に映っていたのは「元気に手足をバタバタ動かす2頭身の胎児の姿」だった。

当時妊娠9週に入った頃だった。

超音波診断ではじめてみた姿がすでに2頭身の胎児だったからあまりにも驚いてしまい、拍子抜けして何も言えなかった。

感動的な超音波診断の画像だった。

撮影した子宮のMRI画像を見せてもらった。

子宮のMRI画像には、頸部筋腫のせいで10cm以上びろ~んと長く伸びた私の子宮頚管と、子宮内部に2頭身の胎児が映っていた。

「こんなに子宮頸管が長く伸びてしまっていたら、器具が届かないので掻爬できない」と担当医は言った。

つまり、中絶を希望してもこの状態では中絶はできないと担当医は言いたかったのだろう。

私は中絶するつもりはなかったので黙って聞いていた。

そして、このまま妊娠を継続する旨を担当医に伝えた

子宮や子宮頚管がこんなに変形しているのに妊娠が継続していること自体、奇跡だと思った。

そして、そんな過酷な環境の中で生き抜いている次男の生命力の強さを感じた

実際に、次男を妊娠してから出産するまでトラブルは何も起きなかったのだ。

ベテラン医師はおそらく40代50代の胞状奇胎の症例を多く扱ってきて、私のケースも胞状奇胎だと思ったのだろう。

確かに40代50代になると胞状奇胎妊娠の確率が高くなるらしい。

けれども、このケースでは、医師の診断よりも、素人である母親の直感のほうが正しかったのだ。