特別養子縁組というもの(その1)

ここ数年、特別養子縁組によって子どもを迎え入れたことを公表する女性有名人が出てきた。

最近も、民放の元女性アナウンサーが特別養子縁組制度を利用して女の子を迎え入れたことを公表した。

 

祖母たちと養子縁組

養子縁組という言葉を聞くと、祖母たちを思い出す。

私の祖父母の世代では養子縁組がまだわりと普通に行われていた

私の母方の祖母も、父方の祖母も、養子だった。

いずれも大正時代から昭和の初めにかけての養子縁組である。

母方の祖母は養父母に大切に育てられたが実際には戸籍を移動しておらず、形だけの養女だった。

それとは対照的に、父方の祖母はほかのきょうだいとともに戸籍を移動して養子になっていた。

どうやら父方の祖母は家を存続させるために養子になったようだ。

けれども、今となっては父方の祖母もそのきょうだいも亡くなってしまったので、真相は闇の中だ。

 

養子という立場での相続争い

母方の祖母は養父母に大切に育ててもらったものの、戸籍は変更せず形だけの養女だったため、実の父母が亡くなったときにいくらかの財産を相続した。

その際、遺産相続協議では決着がつかず、裁判にまで発展した結果、彼女は財産を相続したらしい。

また、私の近い親戚は、昭和の初めごろに行われた養子縁組がまだ尾を引いている。

今後、相続争いに発展する可能性に悩んでいる。

昔はお家のためにわりと気軽に養子縁組をしていたのは本当のようだ。

特別養子縁組により養子になれば、実の父母の戸籍からは抜けて、養父母の戸籍に入る。

この場合、養父母に実子がいるときは、養父母が亡くなると、実子と養子はまったく同等に相続する権利が生じる。

実子と養子との間の遺産分割協議では揉めることが多いだろう。

祖父母たちのように、今から100年ほど前に行われた養子縁組がいまだに尾を引いていて、相続に悩まされている人が今もいることを実際に見聞きすると、気軽に養子縁組をすることに対してはどうしても抵抗があるのだ。