中学受験に躊躇する理由(その2)

以前、わたしが中学受験に躊躇する理由について書いた。

中学受験に躊躇する理由(その1)

でも、わたしが、うちの子どもたちの中学受験を躊躇するのは、金銭的な理由だけではない。

いままで会った人のなかで「中学受験したことを激しく後悔している人たちがいた」という理由もある。

高校受験と違い、中学受験は「必須ではない」。

 

勉強を諦める生徒たち

東京では、名門女子中学3校が「女子御三家」としてよく知られている。

そして、学校や職場その他いろいろな場所で、女子御三家出身の方々にいままでお目にかかってきた。

輝くようなキャリアをお持ちの方もいた。

その一方で、女子御三家のひとつである私立女子中の出身者で「自分の子どもには絶対に中学受験させない」と話す女性がいた。

聞くと「在学中、勉強を続けることに疲れてしまい、途中で挫折した」とのこと。

 

その女性は「我が子は決して中学受験させない」と決意するほど、その名門女子中学に入ったことを深く後悔していた。

 

わたしの小学校の同級生にもこの私立女子中の卒業生がいた。

難しい漢字をたくさん知っている女の子で、小学校低学年から通塾していた。

 

この女の子の自宅に遊びに行ったことがある。

自宅の至る所に絵画が飾ってある文化的な雰囲気が漂う家だった。

この女の子がこの私立女子中に合格したと聞いたとき、「ああ、この学校に入学するのはこういう人なんだ」と思った。

 

けれども、この同級生もさきほどの女性と同じく、途中で勉強が嫌になってしまってドロップアウトしてしまった。

聞くと、周りの生徒がすごく優秀で、途中までは追いつこうと必死に勉強していたけれども、そういう生活を続けるうちに精神的に疲れてしまったらしい。

その同級生は結局、ある女子大に進学したと聞いた。

その同級生が進学した女子大は、この私立女子中の出身者ならば、おそらく簡単に合格できる大学だ。

小学校時代をまるまる勉強に費やして名門私立女子中に入学しなくても、彼女くらい優秀な人ならば、特段ガリガリ勉強しなくても、公立中学からそれなりの高校へと進学できただろう。

そして、中学・高校で勉強以外の色々なこと(部活や趣味、恋愛)を経験しながら、その女子大に進学できたはずだ。

 

「中学受験で必死に勉強して入学したのに、一部の人にはつらい中学高校生活が待ちうけている」

そう思うと、無理してまで中学受験させるメリットを感じないのだ。

 

たとえ過半数の生徒が学校生活に満足していたとしても、2割か3割の生徒が暗い思いを抱えながら通う学校というのは、どんな雰囲気なのだろうか。

すべての生徒が満足する学校など存在しないと思うけれども、わが家の子どもたちには、できるかぎり多くの生徒が満足とうか納得できる学校生活を送れる学校に進学させたい。