陣痛の間隔と置き時計

そういえば、
長男出産のときは、
病室や分娩室に小さな置き時計を持ち込んだ。

本格的な陣痛が始まる前は、
病室で時計を眺めて、
陣痛が何分間隔かを確認した。

本格的な陣痛が始まり、
分娩室に移動するよう看護師さんから言われた後も、
置き時計を常時見ていられるように、
分娩室のベットの横に置き時計を置いた。

置き時計は、長男を分娩する最中、心の支えだった。

なぜなら、
長男を分娩する最中、
置き時計を見て陣痛の間隔を測っていたからだ。

 

陣痛の波は50秒ほどしか続かない

面白いことに、
陣痛が一番強くなったときでも、
陣痛の波は50秒ほどしか続かない。

陣痛が50秒ほど続くと、
痛みはあとかたもなく「ふっと」消えるのだ。

この「陣痛がふっと消える」瞬間は、
今も忘れることができない不思議な感覚である。

そして、痛みが消える時間が1分ほど続くと、
また陣痛の波がやってくる。

陣痛は50秒ほどしか続かない。
そして痛みがなくなる時間は必ず1分続くのだ。

陣痛の合間の痛みが消える1分間がとても大切だ。
この1分間は積極的に「休みにいく」

陣痛が消える1分間に、
お茶を飲んだり深呼吸をしたりして呼吸を整え、
できるかぎりリラックスして次の陣痛の波に備えるのだ。

この陣痛→休み→陣痛→休み…を繰り返すうちに、
こどもは産道を通って徐々に降りてきて、
最後にぬるっと出てくる。

こどもが出てくるときの「ぬるっとした感触」も
忘れられない記憶のひとつだ。

「こどもが出てくるときのぬるっとした感触」は得も言われぬ快感である。
しかもその瞬間、陣痛の痛みから解放されるというご褒美付きの快感だ。

これから出産を迎える人はぜひ、
時計を手元に置いて、
不思議で神秘的な陣痛の波を味わってほしい。