絵本「したきりすずめ」-昔話を読み童謡を歌う
次男が取り巻く環境(幼稚園やピアノ教室)では昔話を読み、童謡を歌う機会が少なくなっていることに気づいた。
新しい絵本が多く出版されてきたこともあって、わたしがこどもの頃と比べて「家の外で昔話を読む機会が減っている」と感じる。
同じように「日本の童謡や唱歌を学校で唄う機会が昔より格段に減っている」と、長男の音楽の授業を参観していて思った。
わたしがこどもの頃みんな当たり前のように知っていた日本昔話、たとえば「さるかに合戦」・「したきりすずめ」・「かちかち山」を知らない子どもは多い。
日本昔話と同じように外国の童話を子どもたちが読む機会は減っている。たとえば「しらゆきひめ」・「おやゆびひめ」・「ヘンデルとグレーテル」を読んだことがない子どもたちが増えている。
日本の美しい童謡や唱歌、たとえば「春の小川」・「海」・「こいのぼり」・「朧月夜」・「冬景色」が小学校で歌われる機会は減った。
童謡や唱歌の歌詞で使われる日本語は優しく、色彩豊かだ。
昔歌った日本の童謡や唱歌が、わたしが使う日本語の礎になっているとすら感じる。
こうなったら次男が小さいうち、次男が自分で本を読み始める前に「できるだけ自宅で昔話を読み童謡を歌う」-そう決めた。
日本語を体験する機会が減っている-そう気づいたから。
絵本「したきりすずめ」-日本語の美しさ
絵本「したきりすずめ」
そう思って手に取ったのが絵本「したきりすずめ」だ。
したきりすずめ|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
「したきりすずめ」の文(再話)は石井桃子・画は赤羽末吉(いずれも敬称略)。
「したきりすずめ」のお話を読むのは40年ぶりだろうか。
日本昔話の多くは「正直じいさん」と隣の「欲張りじいさん」が登場する。
けれどもこの「したきりすずめ」は「正直じいさん」と「欲張りばあさん」夫婦の話なのが面白い。
「したきりすずめ」を改めて読んでみて、「したきりすずめ」は「花咲じいさん」と「かぐや姫」と「浦島太郎」を混ぜたような話だと気づいた。
じいさんとばあさんがそれぞれ、大きなつづらと小さなつづら、どちらが良いか選ぶ場面がある。そういえばそんな場面があったなと懐かしい。
石井桃子の文章の美しさ
絵本「したきりすずめ」を次男に読み聞かせしてみて、石井桃子の文章の美しさに惹かれた。
絵本「したきりすずめ」を読んでいると詰まる箇所がないのだ。
全体を通して滞りなくすっと読める。
石井桃子の滑らかな文章と、赤羽末吉の飄々とした挿絵が印象的な「したきりすずめ」。
「できるだけ美しい日本語を次男に体験させてあげたい」と改めて思った。