「無園児」というトリック

私が住む街でも数年前から、保育園の空きの増加が問題になっている。

待機児童が多すぎて保育園に入れなった5年前が嘘のようだ。

保育園の空きに伴い「無園児」の問題がクローズアップされている。

「無園児」国が初の本格対策へ 家庭訪問、困り事把握を検討

「無園児」というのは保育園・幼稚園・こども園のどこにも通っていない子どものことだ。

0~2歳児は保護者が育児休業中だったり専業主婦家庭だったりと、家庭で育つ子どもが多い。

3歳児以上の無園児はかなり少なく、3歳児の無園児は数%だ。

4歳児5歳児に至ってはそれよりもっと少ない。4歳児5歳児の無園児なんて1%いるかどうかだ。


出典:「無園児」国が初の本格対策へ 家庭訪問、困り事把握を検討

「無園児」といっても全学年を一緒くたにすべきではないことは、多くの人が指摘している。0~2歳児と3~5歳児では事情が違うからだ。

 

「無園児の数を減らすこと」より「養育不十分な児童」の発見が大切

「無園児」として問題になるのは、保護者が育児放棄している場合・病気等で育児ができない場合など家庭での養育がきちんとされていない児童や、外国籍や障害を理由に通園できない児童である。

家庭での養育が不十分なケースの場合、子どもの福祉をまもるため、ほかのこどもよりも優先して保育園に入園できるはずだ。保育園に空きがある現在は尚更そうだ。

障害を理由に園への入所を断られるケースの場合、療育センターへの通園など幼稚園保育園以外の通園があるし、その手続きをサポートするのは自治体の責務である。

それに、外国籍を理由に園への入所を断られることは公立園では「ない」。外国籍であっても認可保育所・公立幼稚園こども園ならば何の問題なく入所できる。

そうなると、問題になる「無園児」はそんなに多くない。

育児放棄されているこどもが全体の半数以上ならば大問題だが、「養育が不十分な児童」はどんなに多くても全体の数%だろう。

重要なのは「無園児」を保育園に通わせることより「養育が不十分な児童」を発見することのほうだ

「保育園に預け始めたら風邪をもらってくるばっかりで病気のこどもの世話に追われ、こどもを保育園に預けたほうが仕事がはかどらないし、親子ともども疲労困憊」を経験した私は、早くから集団生活に入れたほうが良いという考えには懐疑的だ。

「無園児」という言葉を作り出して、子どもを保育所に預けさせて母親を働かせようとしているようにしか見えない。