おひとりさま高齢者について思うこと

どういうわけなのか、夫の親族も私の親族も「おひとりさま高齢者」が多くいる(いた)。

我々夫婦は「おひとりさま高齢者」とりわけ「独身で子どもがいない高齢者」の親族の対応に今まで奔走してきた。

パートナーが居る人でもパートナーに先立たれれば誰でも「おひとりさま高齢者」になる可能性がある。

でも息子や娘がいる場合とそうでない場合では事情が違う。

息子や娘が遠方に住んでいるなどの事情がなければ、たいていは息子か娘が親の面倒を見ることになるのが今の日本である。

日本はまだまだ血縁社会なのだ。

最近は独身を貫く人が増えているから、独身子なしの高齢者は「姪」か「甥」が看取りを行うことが多い。

生涯独身の高齢者・子どもがいない高齢者はこれからどんどん増えるだろう。

「姪」や「甥」は親だけでなく「叔父」・「叔母」の生活の世話までする羽目になる。

 

おひとりさま高齢者ふたりを看取った父

私の父は叔父・叔母がどちらも「独身子なしのおひとりさま高齢者」だった。

最終的には私の父が叔父・叔母の葬式の手配をした。

葬式の手配だけでなく、その後の相続の手続きが大変だった。

たとえ弁護士や税理士に依頼したとしても、提出書類の最終確認は被相続人(甥・姪)がしなければならない。

高齢者は突然亡くなる場合も多々あるけれども、長患いすることも多い。

長患いすると、親族がサポートが必要な期間が長くなる。

叔父・叔母が姪・甥に世話を頼ってきたのは、叔父・叔母が80歳前後の頃だった。

ちょうどその頃に体が言うことを利かなくなってきて、老後の生活が心配になってくるようだ。

叔父・叔母は衰える直前まで自分の資産について甥・姪に教えなかった。

息子・娘と違って、叔父・叔母は甥や姪をそこまで信用していないのだ。

たとえそれまで甥・姪と良好な関係を築いていたとしても、である。

そこが息子・娘とは決定的に違う点だ(自分の子どもの金遣いが荒い場合は資産の額を教えないかもしれないが)。

体力に自信がなくなり認知機能が衰えた段階で初めて、叔父・叔母(おひとりさま高齢者)は甥・姪を頼ってくる。

その時点で預金額をはじめて甥・姪に伝えて老後のサポートを頼んでくる。あるいは、認知機能が衰えた高齢者に代わって甥・姪が通帳の管理をせざるを得なくなり、
甥・姪が介護施設への入所の手はずを整える、という流れになる。

 

業者に騙される可能性も

ひとり暮らしの高齢者は、怪しい保険や投資信託の勧誘に騙されることが多々、ある。

家族・親族が気づいたときには、高齢者が預金のほとんどを投資信託につぎ込んでいる、ということも多い。

おひとりさま高齢者は甥・姪には預金の額を簡単に教えてくれないのに、そういった業者には簡単に預金額を教えてしまうのが不思議でならない。

独身子なしの高齢者の場合、保険や投資信託のせいでせっかく築き上げてきた資産が目減りしてその後の生活が困窮しても、甥・姪からは金銭的なサポートは期待できないことが常だ。

そうなると、介護施設は自身の年金で賄える「金銭的に可能な最低レベル」の施設しか選択できなくなる。

甥・姪である私たちからすれば、信用してあらかじめ相談してくれれば何らかの対策はとれたのに…と思うのだ。

 

高齢者の自衛策は

おひとりさま高齢者に限らず、高齢者は、普通預金の通帳に高額なお金を預金しておかないほうがいい。

仮に認知機能が落ちた場合、業者に騙されて普通預金の通帳やカードを渡したりカードの暗証番号を教えてしまう可能性があるからだ。

取り立てて利用する予定がない高額な現金は、顔見知りの堅実な地元の信用金庫で定期預金にしておくなど、本人以外が簡単に引き下ろせないようにしておいたほうがいい。