「東京の女子は中学受験したほうがいい」という本音

予備校講師の林修先生の「東京周辺の女子は中学受験したほうがいい」という見解が話題になっている。

林先生がおっしゃりたいことはよ~くわかる。

 

東京の高校受験:成績上位層女子の選択肢が少ない

東京では、高校受験する場合、成績上位層女子の選択肢が少ない

男子は内申点が悪くても、難関国立・私立高校を受験するという手がまだ残っている。

男子が東京周辺で高校受験できる難関国立・私立高校は、昔より数が少なくなってきたとはいえど、筑駒・筑附・学芸大付属・開成・巣鴨・城北・桐朋などがある。これに加えて、早慶付属(塾高・慶応志木・早大学院・早稲田実業)やMARCH付属などがある。

ところが、東京で女子が高校受験できる難関私立高校が非常に少ないのだ。

具体的に言うと、女子が高校受験できる早慶付属は、東京では早稲田実業と慶応女子の2校しかない。

つまり、女子が高校受験できる難関国私立高校は、国立付属(お茶・筑附・学芸大付属)と、早稲田実業・慶応女子しかないのだ。いずれの高校も女子には相当に狭き門で「最難関」である。

そうなると、成績上位層(最上位層を除く)の女子には「都立高校」という選択肢しか残されていない

 

「内申点」という鬼門

難関都立高校を狙うには、公立中学で高い内申点を取る必要がある。入試の合否に内申点が加味されるからだ。

昔は、定期テストで良い点をとれれば高い内申点がもらえた。

ところが東京都の場合、今は、内申点の半分が提出物や授業態度などで決まる

つまり、東京都の公立中学では、たとえ定期テストで高い点数をとっても、提出物をきちんと出す・積極的に授業に参加するなどをして公立中学の教師のご機嫌取りをしないと、高い内申点がとれないシステムになっている。

もちろん、公立中学で高い内申点をとるためには、不登校・教師への反抗はご法度である。

これに対して、難関国立・私立高校は内申不問のところがほとんどなので、男子は内申点取り(≒教師へのゴマすり)を捨てて、難関国立・私立高校を受験するという手を使える

けれども、女子は、最難関国私立高校に合格できるような成績最上位層でないならば、公立中学で教師にアピールして高い内申点をとって難関都立高校に合格するしか道は残されていないのである。

林先生が東京の女子に中学受験をすすめるのは、最難関国私立高校に手が届かない成績上位層女子は、公立中学で内申点稼ぎをして難関都立高校に入学する以外、道はないからだろう。

大学付属校をはじめとする難関私立高校にも推薦制度が導入されている高校があるが、いずれも狭き門である。

 

とはいえ「男女別定員の全廃」という朗報もある

逆に言えば、ゴマすりが得意な女子は都立高校の受験が適しているといえるかもしれない。

来年(2024年)から都立高校入試の男女別定員が全廃される。これは、女子生徒には朗報であろう。都立高校の推薦入試でも一般入試でも、内申点が高い生徒が合格に有利であることは間違いない。

ゆえに、教師へのアピールが苦にならない女子には高校受験という選択肢は悪くないだろう。

けれども、本音で直球勝負するタイプの女子は東京の高校受験ではどうしても不利だ。