柏原芳恵のアイドル時代を思い出す
柏原芳恵(以下登場人物は敬称略)は1980年に15歳で歌手デビューを果たした。
デビュー当時は「柏原よしえ」だったが、途中で「芳恵」と漢字に改名した。
柏原芳恵の同期には松田聖子・田原俊彦・河合奈保子・岩崎良美・甲斐智枝美らがいる。
柏原芳恵は15歳でデビューしたので、同期デビューの中でとびぬけて若く、当時小学生だった私は柏原芳恵に親近感を覚えた。
その反面で、こんなに若いうちに芸能界デビューしなければならない「過酷さ」を柏原芳恵に感じた。
グラマラスな肉体
デビュー当時は中学生でまだあどけない雰囲気が残っていたものの、柏原芳恵はどんどん妖艶な雰囲気をまとっていった。
当時、アイドル歌手は誰もが水着を着てグラビア撮影に応じなければならない時代だった。
「芸能人水泳大会」というテレビ番組が恒例だった。
アイドル歌手は水着を着て水泳大会に出場し、歌を披露するのが定番だった。
お約束のように、競技中にビキニ水着の紐が外れる参加者(仕込みの人だろう)がいたものだ。
当時はゴールデンタイムにとんでもない番組をやっていたのだ。
その頃高校生だった柏原芳恵も例も漏れず、芸能人水泳大会に出場して歌を歌っていたと記憶している。
柏原芳恵は当時から豊満な肉体の持ち主だった。
若い女の子が水着を着せられて公衆の面前で歌わなければいけなかった時代については誠に同情申し上げるが、水着を着て唄う柏原芳恵をテレビ番組で見ると「見てはいけないものを見てしまった」という気分になった。
当時から柏原芳恵はなんというか「ちょっと後ろめたいような妖艶な雰囲気」があったのだ。
そういえば、わたしの周りには「柏原芳恵のファン」であることを公言していた子どもはいなかった。
松田聖子・中森明菜・小泉今日子・松本伊代・堀ちえみ・石川秀美のファンを公言する子どもはいたけれども、なぜか「柏原芳恵のファン」であると話す子どもはいなかった。
本当は関西出身
後でわかったことだが、大阪府大阪市出身の柏原芳恵は、格闘家・亀田兄弟の父親である亀田史郎(西成区出身)と小学校の同級生ということである。
普通はありえないような、ものすごい「繋がり」である。
でも、芸能界の人というのは、そういう不思議な「繋がり」を持っていたりするものだ。
ところで、柏原芳恵は関西出身なのだが、会話に関西弁が出たのを聞いたことがない。
コンサートに行くようなコアなファンの方はもしかしたらコンサートで「芳恵の関西弁」を聴いたことがあるのかもしれない。
しかし、少なくとも全国放送のテレビ番組で柏原芳恵自らが関西出身であるのがあからさまになるような話し方をしたのを私は聞いたことがない。「関西出身」を公言したくないのだろうか。
そういえば、当時、柏原芳恵と仲が良かった(と思われる)河合奈保子も関西出身である。
歯はどうなったのだろう
あるとき、TBSの歌番組「ザ・ベストテン」に柏原芳恵が出演した際、「芳恵の秘密」として「口の上あごのド真ん中に歯が1本生えていること」が紹介された。
番組側は丁寧にも「柏原芳恵の口の中の模型」を作って説明をしていたので、その歯がどんな位置についているか容易に理解することができた。
当時子どもだった私はこの話を聞いてひどく衝撃を受けた。世の中にはそんな人がいるんだなあ、と思った。
そのとき、当の柏原芳恵は「この歯にトローチの穴をひっかけて遊べる」みたいな能天気なコメントをしていたと記憶している。
柏原芳恵は今もこの「歯」を持ち続けているのだろうか。
天皇陛下の想われ人
天皇陛下が柏原芳恵のファンだったことは有名な話だ。
柏原芳恵のコンサートを天皇陛下が観賞したことが報道されたこともある。
このことで柏原芳恵は名を上げたと思う反面、グラビアの仕事を続けながらも露出に関して最後の一線をはっきり越えなかったのは天皇陛下の影響が大きいのだろう。
歌手としての柏原芳恵
柏原芳恵は「春なのに」や「ハロー・グッバイ」など大きなヒット曲をいくつか持っている。
「春なのに」は当時、卒業式の定番ソングとなった。
中島みゆき(春なのに)や谷村新司(花梨)などの有名どころからも楽曲を提供されている。
中島みゆきに関しては工藤静香よりも先に、アイドル歌手として楽曲を提供されていたのだ。
同期の岩崎良美や河合奈保子のような美しい声はないけれども、柏原芳恵の歌には独特の「うしろめたさ」がある。
「うしろめたさ」~それが柏原芳恵の魅力だと思う。
私のお気に入りはオフコースの松尾一彦が作曲した「夏模様」である。
「夏模様」の退廃的な雰囲気が私は好きだ。
そういえば、ずいぶん前から、柏原芳恵は年上の事実婚のパートナーがいると伝えられている。
アイドル時代から現在まで、柏原芳恵はどんな生活を送ってきたのだろうか。
40年以上も芸能界で唄い続けてきたのだから尊敬に値する。
柏原芳恵は相変わらず美しく「妖艶な雰囲気」は今も変わらない。
いつかステージで歌う柏原芳恵を生で観てみたい。