東京の高校受験のデメリット「併願校の選択肢が少ない」

「東京の高校受験では、成績上位の女子が受験したいと思える高校が少ない」~これはよく知られていることだ。

それを理由に中学受験を決める女子の保護者も多い。

「東京の女子は中学受験したほうがいい」という本音

ところが、男子についても、受験校を自由に選択できるのは、難関国私立高校に合格する実力があるトップクラス(せいぜい上位5%だろうか)の生徒だけである。

それ以外の生徒は選択肢が少ない。

なぜなら、東京では「併願優遇」という制度によって、第1志望校が不合格だった生徒を私立高校に誘導するシステムが確立しているからだ。

半ば強制的に併願優遇による併願を決定させられる~進学先を勝手に決められてしまうのは公立中学までだと思っていたのに。

 

「併願優遇」を使わないで高校受験する方法もあるが、東京の場合、一般入試による高校受験は概して「狭き門」である。

一般入試で受験できるのは、難関国私立高校(進学校と大学付属校)が中心である。

もちろん推薦入試という手もあるけれども、私立難関校の推薦入試は「狭き門」である。

 

今は、私立高校の多くがコース制になっていて、同じ高校でも2つ以上のコースに分けて募集している。コース制を採用していないのは、ほとんどが難関校である。

よって、今はほとんどの私立高校には幅広い学力の生徒が通っている。

 

多くの私立高校では、レベルが一番上のコースは「特進コース」等という名称がついていて、都立上位校が不合格だった生徒の受け皿になっている。

昔はヤンキー高校として有名だった…というような私立高校が、今や、都立上位校が不合格だった生徒の受け皿であることに驚く。

 

ところが、この私立高校の「特進コース」がくせもので、進学実績を上げるために生徒に大量の課題を課したり、異様に速いペースで授業が進めたりすることが多い。

生徒たちは大量の課題に追われ、授業についていけない生徒・途中退学する生徒も多い。

詰め込み教育の成果として進学実績が伸びる私立高校もあるけれども、大量の課題を生徒に無理やらせるので生徒の満足度は低かったりする。

 

都立トップ校に成績上位で合格する生徒のなかには、難関国私立高校に併願して合格する者もいる。

けれども、それ以下の都立高校を志望する生徒が難関国私立高校に合格できるとは限らない。

都立高校と私立高校とでは出題傾向が違うからだ。

 

第1希望は都立高校だからという理由で、併願優遇制度を利用して滑り止めの私立高校を安易に決めてしまう受験生は多い。

その結果、第1希望の都立高校が不合格になると、併願優遇制度によって第2希望の高校に入学し、納得いかない高校生活を送る生徒が少なくない。

 

自校作成校を受験できるレベルにあって自由に併願校を選びたいならば、第2希望の私立高校として「併願優遇なしで受験できる高校」を選び、第2希望の私立高校の試験対策もやったほうがいい。

けれども、それができるのは、成績が概ね上位5%の生徒だけである。

第1希望の高校に確実に合格したいならば、志望校のランクを下げるという方法をとらざるを得ない。

これが東京の高校受験の現状である。