まるでお受験の「行動観察」だ、就活のグループ・ディスカッション
最近、いろいろな場所でグループワークやグループ・ディスカッションをやらされる機会に遭遇する。
前回、保護者会でグループ・ディスカッションをやらされることについて書いた。
なぜこんなにグループワークやグループ・ディスカッションの類いが世の中に浸透しているのか疑問だった。
調べてみたら、だいぶ前から、就活では多くの企業でグループ・ディスカッションが導入されているらしい。
就活でのグループ・ディスカッション:もはや当たり前
検索すると、出てくる出てくる。
「就活でのグループ・ディスカッションが上手くなる方法」みたいなサイトがネットでわんさか出てくる。
グループ・ディスカッション講座やグループ・ディスカッションのマンツーマン指導をする業者もたくさんある。
「就活でのグループ・ディスカッション対策」として立派なビジネスが成立しているのだ。
ところが、グループ・ディスカッションそれ自体を疑問視するサイトはごく一部だけで、ほとんど見当たらない。
「就活ではグループ・ディスカッションは当たり前」とグループ・ディスカッションを受け入れている就活生が大部分なのだろう。
就活のグループ・ディスカッション=お受験の「行動観察」みたいだ
就活でグループ・ディスカッションみたいな手法がもてはやされているとは、世も末だ。
入社試験でのグループ・ディスカッションは、まるで私立幼稚園・小学校お受験の「行動観察」だもの。
お受験の「行動観察」は集団行動でのルールを守れない・集団をかき乱す子どもを見つけ出してはじくために行われる。
行動観察はグループ・ディスカッションとまったく同じである。
そう、「行動観察」は原則として減点主義だ。
お受験とおんなじことを入社試験で課しているのだから笑える。
中学受験・高校受験・大学受験では行動観察がないのに、入社試験ではまた振り出しに戻って行動観察を課されるのだ。
モノ作りを馬鹿にしているのか
就活でグループ・ディスカッションみたいな手法がもてはやされているとは、世も末だ。
個人的にはグループ・ディスカッションについて違和感ありまくり。
仕事としてのディスカッションならば、たとえばメーカーならば、人の意見に慮ってばかりいたら良い製品など生まれない。
サービス業ならばグループ・ディスカッションを入社試験でやるのもわかるが、メーカーでグループ・ディスカッションをやるのは、モノ作りを馬鹿にしているとすら思う。
こんな状況では、日本企業の行く末は厳しいかもしれない。
突飛なアイデアを生み出せる人物はグループ・ディスカッションで振り落とされるだろうから。
これでは、日本企業から画期的な製品など生まれないだろう。
グループ・ディスカッションをやらない企業もある
とはいえ、グループ・ディスカッションを実施していない企業も実際にはあるようだ。
グループ・ディスカッション経由で採用する人物(たとえば人事担当など)と、グループ・ディスカッションを経由しないで採用する人物(たとえば開発職など)を分けている企業もあると思う。
賢明な企業は、グループ・ディスカッションを重視していたらモノ作りに相応しい人物は採用できないと分かっているはず。
はたから「グループ・ディスカッションを課す企業は入社試験を受けない」という賢明な学生もおられるようだ。頼もしい。
グループ・ディスカッションを課す企業は受けないほうがいいと、うちのこどもたちにも話しておこう。