(読書感想)87歳と85歳の夫婦 甘やかさない、ボケさせない(神津善行・中村メイコ)

「87歳と85歳の夫婦 甘やかさない、ボケさせない」は、今年(2024年)の正月に亡くなった中村メイコさんとご主人の神津善行の共著である。

 

「87歳と85歳の夫婦 甘やかさない、ボケさせない」では「夫婦は同じ墓に入るべき?」・「老人ホームへの入居」・「オレオレ詐欺の対処法」・「運転免許の返納」などなど、高齢者が直面する問題に1問ずつ中村メイコさん・神津善行さんがそれぞれ答えている。

同じ問いに対してメイコさんと神津さんがそれぞれ別々に答えているので、ご両人の考え方の違いがよく分かる。上手く編集されていて読みやすい良著だと思う。

先日の徹子の部屋で追悼としてメイコさんのお子さんたちが出演していた((徹子の部屋・視聴録)2024年4月8日(月)神津はづき・神津善之介)。その流れでこの本を読んでみた。

 

神津善行さんのお話が参考になった

この本に掲載されている神津さんのお話がとても参考になった。

神津さんありがとうございました。

列記してみると、この本に出てくる神津さんの話題の幅はものすごく「広い」。

もちろん、メイコさんの数々の常識離れしたエピソードもすごく面白かった。

 

健康法の話

神津さんは、独自で編み出した体操とスクワットを毎日続けているそうそうだ。

毎日たった10分の体操で血圧130台をキープしている。早速参考にさせて頂いて、私も思い出したときにフラフラ体操をしている。

どんな仕事をしていても(主婦でも)、「工夫して自分なりの方法を編み出す」ことが大事だと神津さんは言う。

そうかもしれない。神津さんに限らず、男性で長寿の方には独自の健康法を自分で確立して続けている方が多い(例:作家の五木寛之さん)。

 

いい歌手とは

作曲家ならではの意見「いい歌手は作曲家が思いも寄らなかった解釈を曲に吹き込む」についてはなるほどと思った。

いい歌手の代表格が美空ひばりさんで、ひばりさんは自分の生まれ育った環境や人生をもとに新たな解釈を曲につけることができる歌手だった。作曲家は「なるほどそういう解釈もあるのか」と納得させられるそうだ。

 

生ハムをつまらせて死にかける

個人的に一番印象に残ったのは「生ハムをつまらせて死にかけた」話。

最近、ほぼ同じ経験を私もしたからだ。

この本に書いてあるように、喉にものが詰まって息が出来なると、息をしようとしてもヒューヒューと音がするだけ、である。

まさに最近、私も同じことを経験したからよく分かる。

高齢になると嚥下力が低下して、喉に食べ物を詰まらせるリスクが増える。

喉にものが詰まった時は「指を口に入れる・「咳をする」ことで詰まったものを吐き出すのが大切だ。

普段からそう心にとめておけば、ものをのどに詰まらせたときに素早く対処できる。

 

メイコさんの話

この本に載っているメイコさんの話で面白かったのが「美輪明宏さんから結婚前に言われたこと」だ。

 

美輪明宏さんから結婚前に言われたこと

おふたりが結婚する前、国立音大付属高校で神津さんの2年後輩だった美輪明宏さんが「神津善行は女たらしだから、結婚したら苦労する」とメイコさんに言ったそうだ。

美輪さんの予想に反しておふたりの結婚は長続きし、「私の誤算だったわ」と美輪さんがメイコさんと会うたびに言われたという話がおかしかった。

中村メイコさんは、女性にもてる男性のほうが好みだったとのこと。

そのほかにも、中村メイコさんが田中角栄氏と気が合い、正月に欠かさずご新年の挨拶に伺っていた話など、面白い話がさりげなく、たくさん掲載されている。

 

生活をダウンサイジングする話

中村メイコさんの時代の「スター」はそれこそ「大豪邸に住み、お手伝いさんが居る」というのが当たり前だった。

中村メイコさんもそんな「大スター」のひとりで、お手伝いさんの部屋があるようなお屋敷に住んでいた。

中村メイコさんは亡くなる前にお屋敷からマンションへと移住したのはよく知られている。生活をダウンサイズする際に家計簿をつけるようになったそうで、庶民と同じことをしているのだな、と身近に感じた。

 

87歳と85歳の夫婦 甘やかさない、ボケさせない

著者:神津善行・中村メイコ
2019年初版
幻冬舎