(読書感想)ピアノ教本ガイドブック~生徒を生かすレッスンのために~(著者:山本美芽)

以前から読みたかった「ピアノ教本ガイドブック」を年末に読んだ。


ピアノ教本ガイドブック~生徒を生かすレッスンのために~(著者:山本美芽)

 

少子化で生徒数が減り続けるピアノ教室は少なくないと聞く。「どの生徒にも同じ教本」を使って指導しているピアノの先生がたくさんいるのだと思う。

少子化で学習塾がどんどん潰れる時代である。塾でもピアノ教室でも、生徒に応じて教本を使い分けるのがスタンダードになりつつあるのだ。

 

「ピアノ教本ガイドブック」は本来、ピアノの先生向けの本(生徒の教本選びのため)だが、それだけでなく、自分や我が子が使うピアノ教本を選ぶときにも利用価値が高い本である。

 

「ピアノ教本ガイドブック」に掲載されているピアノ教本はいわゆる「初心者・初級」のものが中心である。

現在よく使われている初級のピアノ教本のほとんどについて、この「ピアノ教本ガイドブック」で解説されている(『バイエル』・『バーナム』・『トンプソン』・『ギロック』・『バスティン』・『グローバー』・『オルガン・ピアノの本』・『ピアノランド』・『ピアノひけるよジュニア』・『ぴあのどりーむ』等)。

 

そのほか、よくある質問「ブルグミュラーに移行するタイミング」についての記述が参考になる。

代表的なピアノ教本からブルグミュラーへの移行(またはブルグミュラーとの併用)を始める時期についても書かれている(『バイエル下巻』・『バスティン』・『ピアノランド』・『オルガンピアノの本』・『ぴあのどりーむ』)。

例えばぴあのどりーむでは、理解の早い生徒は『ぴあのどりーむ4』から、そうでない生徒は『ぴあのどりーむ5』からブルグミュラーに移行する方針が一般的とのこと。

 

また、初心者・初級用教本として『バイエル』が使われなくなったせいで、『バイエル』で練習が可能だったスケールやアルペジオの練習量が減ってしまった点を補うため、スケール・カデンツ・アルペジオの教本を併用するのが効果的だという指摘はなるほど、と思った。

やはり、というべきか、「ピアノ教本ガイドブック」にも掲載されている、『バイエル』の代用として用いられる新しい教本は初心者・初級のものが代表的である。

 

『バイエル』卒業以降レベルになると、依然として『ブルグミュラー』や『ソナチネ』という昔ながらの教本が使われ続けていて、それに代わるものはなかなか現れていないのだ。