幼稚園:「保護者教育」という側面

幼稚園には「お手伝い」という名の保護者活動が残っているところがまだある。

確かに、園の「お手伝い」をすると、否が応でもこどもたちの成長に目を向けることになる点はメリットだ。

 

 

幼稚園のお手伝いには「保護者教育」という側面がある。いや、「あった」というべきかもしれない。

今や、幼稚園でも職を持つ母親が増えていて、保護者教育の必要性は薄れてきた。

母親に社会経験を積ませるための保護者教育はもはや要らないだろう。

けれども、いまだに、母親に対して「良妻賢母」みたいな保護者教育を頑なに施そうとする園もあると聞く(そういう園は定員割れしていたりする)。そういう園は、今の母親が置かれている状況への理解が足りない。

 

かつて、90年代初頭までは、就職して数年働いたのちに寿退社して専業主婦として育児に専念するという流れが主流だった。

わたしが学生だった90年代初頭までは、寿退職がまだ当たり前に存在していた。

 

寿退社して家庭に入ると、社会人としての経験を積めない。

その代わりに、幼稚園での「お手伝い」を通して、ほかの母親と交流を持つことで社会経験を積んでもらう、という流れがあったと思う。

けれども今や「寿退社」は死語になった。社会経験を積ませる目的での「お手伝い」は不要になった。

 

昨今は少子化もあって定員割れする幼稚園が増えており、お手伝いを減らす園が増えている。

働く母親が増え、幼稚園が保護者教育をしなくても、母親は職を通して社会経験を積める時代になった。

過度なお手伝いはもはや、無くして良いと思う。

 

確かに、幼稚園の良いところは、保育園と比べると、保護者の目がこどもに向いていることだ。

でも、過度な「お手伝い」を保護者に要求せずとも、いろいろな方策で保護者が子どもに目を向ける方針を貫くことはできるはず。

 

次男は今も、ときどき幼稚園時代を思い出しては「幼稚園は楽しかったなあ」と話している。

こどもがありのままにゆったりと過ごせる幼稚園がこれからも存続していってほしい。