ピアノと中学受験

都市部では、中学受験のためにピアノレッスンを辞めるのがデフォルトになっている。

中学受験を選択するのは、生活にある程度余裕がある、教育熱心な家庭が多いのは言うまでもない。

 

中学受験を選択する家庭は、こどもにピアノを習わせている家庭ともかなりの割合で重複する。

ピアノの先生自身が、中学受験のためにわが子のピアノレッスンを中断することも少なくない。

 

都市部のピアノ教室では、小学校高学年になると発表会に参加する生徒がガクッと経る。

小学校高学年になると中学受験のためにピアノレッスンを止める生徒が増えるからだ。

 

小学校4年生・5年生は、ちょうどブルグミュラー25の練習曲(初級)が終わって中級のソナチネに入り、バッハを弾き始め、これから弾ける曲が増えていく頃だろう。

ちょうどこれから、という時期にピアノレッスンを止めることになる。

 

中学受験の影響はピアノ等の音楽関係に限らない。中学受験はジュニアスポーツその他習い事全般に大きな影響を及ぼしている。

習い事や公立小学校での生活など、都市部における中学受験の影響は測り知れないほど大きい。

 

個人的には、中学受験で習い事をいっさい止めてしまうのは本当にもったいないな、と思う。

わたしが中学受験に積極的になれない理由のひとつでもある。

 

自分の経験でも、小学校高学年のときに継続してやっていたこと(英語・水泳・天体観察・肉体改造などなど)は生涯にわたって役にたっている。

 

とはいえ、小学校生活の後半3年間を受験勉強に費やすことに抵抗がある保護者も一定数、存在する。わたしもそのひとりだ。

そうした保護者の多くは高校受験で難関校の受験を目指すことになる。

実際、都立進学重点校の倍率が高止まりしているのは、中学受験を回避して高校受験を選ぶ家庭が存在するからだ。

 

高校受験で都市部の難関校に入学する生徒は気づいている(気づいていないならば肝に銘じることをお薦めする)。

地元の公立中学は、中学受験で優秀な生徒の多くが他校に抜けている。

地元の公立中学ではトップで高校受験でそれなりの難関校に進学したとしても、大学受験は中高一貫校の生徒との競争になる。

たとえ高校受験で難関校に進学したとしても、いい気になっていると後で困ることになる。

 

大学受験の際は、模試などで常に「見えない敵(中高一貫校の生徒)」を意識しなければならない。

「都市部で高校受験を選択する」と、大学受験では見えない敵との競争になるのだ。