【ブルグミュラー25の練習曲】第10番・やさしい花【大人ピアノ感想】

ブルグミュラー25の練習曲・第10番「やさしい花」。

二長調・4分の4拍子。

 

「やさしい花」はフワフワとして柔らかく、まるで花びらが風に吹かれてくるくると舞っているような、タイトル通り「やさしい」雰囲気の曲である。

ポリフォニーが特徴的である。

「やさしい花」ではじめてポリフォニーに出会うこどもたちは多いと思う。

 

「やさしい花」はブルグミュラー25の練習曲の中では異色の存在だ。

冒頭の、右手のフレーズに呼応するような左手のフレーズが印象的。その後、ポリフォニー部が続く。

 

「やさしい花」は繰り返し部分が多いため、ざっと譜読みをするには時間はかからないけれども、なめらかに弾けるようになるまで時間を要する。

 

やはり、なんといっても、ポリフォニー部分を優雅に表現するのが「やさしい花」を弾く時のポイントである。

 

昨年、なんとなく気分で、発表会で「やさしい花」を弾いた。

けれども、本番で大失敗してしまった。

それ以来、1年以上、「やさしい花」を弾く気にはなれなかった。

最近、ようやく、封印を解いて、「やさしい花」をまた弾いてみようという気になった。

 

今は「やさしい花」を毎日弾いている。

「やさしい花」を弾いていると、花びらの音符がふわふわと舞っているような気持ちになる。

 

発表会で「やさしい花」を弾く場合は、ポリフォニーの箇所で崩れると立て直しが難しい。

この曲は音数が少ないので、間違えるとすぐに観客にバレてしまう。

だからこそ、この「やさしい花」を発表会で立派に弾ける人は度胸があると思う。

 

「やさしい花」は音数が少ないのに、発表会で聞くと音数の少なさは気にならず、むしろ、拡がりがあってとても映える曲だ。

シンプルさの中に気高さ・美しさを感じる。

 

この「やさしい花」は、ポリフォニー部を除くと、片手で弾くフレーズに呼応するようにもう一方の手でフレーズを弾く片手奏が中心なので、自宅で練習しているときは実に単調に聞こえる。

でも、他人が「やさしい花」を発表会で弾いているのを聞くと、実に奥行きがあって気高く、味わい深い曲だとわかる。

 

特に、冒頭の主旋律は二長調の主和音(レ・ファ・ラ)から構成される。

シンプルで美しい。

二長調の「優しいけれど荘厳さ」が感じられる。

 

度胸がある人はぜひ発表会で「やさしい花」に挑戦してみてほしい。