中学受験のブローカーみたいな小学校教員のこと

今も中学受験は過熱し続けているらしい。

中学受験のブローカーみたいな人たちが巷に居るようだ。

 

この記事を読んで昔を思い出した。

40年以上前、私が通っていた小学校には、中学受験のブローカーみたいな先生(教師Aとする)がいた。

年齢からして教師Aは、今すでに鬼籍に入っているはずだ。

 

教師Aは「地元の公立中学が荒れているから」という理由で、中学受験して私立中学に進学することをクラスの子どもたちにすすめていた。

確かに、私の地元の公立中学は当時、とても荒れていた。

腐ったミカンで有名な「金八先生」のすぐ後の時代である。

でも当時はそれをわかっていながら、多くの親は地元の公立中学に子どもを進学させたものだった。

荒れていると分かっていて進学するのは気が進まなかったけれども、私も地元の公立中学に進学した。

親が中学受験について無知である以上、公立中学に進学するしか選択肢はなかったからだ。

 

私のクラスの担任を含む同僚の先生方は、教師Aのこういった行為について快く思っていないと、はたから見ていて感じていた。

結果として、教師Aが担任をしているクラスだけ、中学受験するこどもの割合が異様に高かった。

 

当時、教師Aは「私立中学に顔が利く」という噂が流れていた。

私立中学側から教師Aに金銭の授受はなかったと思いたいが、「私立中学に生徒をあっせん(紹介)する」という、今だったら公務員としてどうか?と思うことが昔は行われていたのだ。

 

私が小学生の頃は、中学受験は今ほどは過熱していなかった。

当時、レベルが中堅以下の私立中学は生徒集めに苦労していたと思う(今もそうかもしれない)。

私立中学側は教師Aのような存在を頼もしく思っていただろう。

 

教師Aが担任するクラスでは、中堅以下の私立中学に進学する生徒が相当数いたと記憶している。

ある保護者は、個人面談で教師Aから「おたくのお子さんはこのまま地元の公立中学に進学したら、いじめにあう可能性が高いですよ」と言われて驚き、中学受験を決めたと噂に聞いた。

小学校を卒業したのち、その保護者の子どもがどこかの私立中学の制服を着て街を歩いているのを目にして、なんともいえない複雑な気持ちになったのを覚えている。

我が子の中学受験させることに私がどうしても前向きになれないのは、子どもの頃にこういう経験をしたからだと思う。