留学というもの
眞子さまの婚約者とされる男性がアメリカに留学中である。
勤務先の法律事務所の所長が留学中の生活費を肩代わりしているといわれている。
この男性は表向きにはパラリーガルだ。
けれども実際は、コピー取りなどを担当する学生アルバイトだったといわれている。
法律事務所がパラリーガルの留学の手助けをするなど、普通はあり得ない話だ。
しかも、この男性は実際はパラリーガルの域にも達していないアルバイトだ。
アルバイトの男性に留学中の生活費を肩代わりするのはあり得ない話だ。
法律事務所でなくて普通の企業であっても同じ。
社長がアルバイトの生活費の肩代わりするなど、あり得ない。
アルバイト社員が社長の孫であるなどの特別な事情があれば別だが。
だからこそ誰かがこの法律事務所の社長に生活費の肩代わりを依頼したと疑われるのだろう。
日本が景気が良かった頃
そういえば、日本がまだ景気が良かった頃、大手企業や官庁では将来有望な若手社員を会社の費用で留学させていた。
企業が若手社員を留学に出していたのは今から30年近く前、いわゆるバブル前後までだろう。
日本の景気が悪化するにつれて、会社の費用で社員を留学させることができる大企業はどんどん少なくなっていった。
それだけではない。
会社のおカネで留学したにも関わらず、留学から帰国後に会社をすぐ辞める若手社員が増えてきた。
昔は留学させてもらった恩を返そうと、留学後もずっとその会社で働く社員が多かった。
まるで武士と御家人との間の「御恩」と「奉公」の関係だった。
家族主義の崩壊
ちょうどその頃、日本の会社の家族主義が崩れ始め、リストラや早期退職推奨という制度が始まっていた。
「社員は家族」という概念が崩壊しはじめていた。
長年働いて会社に尽くしても簡単にリストラされる。
要らなくならばどうせリストラされるんだから、留学させてくれた会社の「御恩」に報いるため会社に「奉公」するなんて馬鹿らしいと若い社員は考えたのも無理はない。
一方で「高い費用を出して留学させたのにすぐ辞めてしまうならば会社の得にならない」という理由で、留学制度自体を止める会社も増えた。
「留学する場合、何年以内に退職したら留学費用を返還すること」を留学時に約束させる企業も現れた。
そういう話を当時聞いてきて、高額な留学費用を会社に出してもらったのにさっさと会社を辞めるのはどうかとわたしは思った。
「何か勉強したいと思ったときは安易に組織に頼らずに自腹を切ったほうがよい。
そのほうが、会社を辞めるときにキレイすっぱり縁を切ることができる。」
会社を辞めるときに留学費用を返すか返さないかですったもんだした話を多く見聞きしてそう思った。
留学は昔話か
今は日本企業の懐具合もすっかり厳しくなった。
だから正社員であっても会社は昔みたいに簡単に留学費用など出してはくれない。
だからこそ、眞子さまの婚約者とされる男性がアルバイトの身分で所長に留学費用の肩代わりをしてもらうのはかなりの違和感がある。
「勤務先の法律事務所が留学費用を肩代わりしていると表向きにみせかけてくれ」と、裏で誰かに頼まれているのではないか?と疑われても無理はない。