中学受験しないデメリット
地域にもよるけれど、東京都、特に区部は中学受験率が高い。
長男が通う公立小学校では、中学受験率は6割5分~7割ほどだろうか。
なかには、都立中高一貫校1校のみ受験し、不合格ならば地元の公立中学校に通う子どもも多い。
長男が通う公立小学校では、実際に国私立中学に進学するのは5割前後、といったところだ。
小学校の算数の授業について思うこと
長男は中学受験をせず、地元の公立小学校に進学する予定だ。
長男を公立小学校に通わせていて実感していること。
それは
「小学校高学年の算数を熱心に教えようという意欲が学校の先生方に欠けていること」
だ。
。
重要単元が目白押しの小学算数(高学年)
小学校高学年の算数は「割合」・「単位あたりの量」・「速さ」・「比」などの重要単元が目白押しだ。
これらの重要単元をきちんと理解しないままにすると、中学数学には当然、ついていけない。
小学算数の重要単元については当然、中学受験予定のこどもたちは、受験機関でみっちり・しっかり学習している。
「中学受験予定の子どもたちにとっては、小学校の授業は易しすぎて息抜きでしかない」という話を何人もの塾講師から聞いてきた。
確かにその通りなのだろう。
中学受験率が高い地域にある公立小学校の先生は、小学算数の授業を工夫する必要は、ない。
なにせ、中学受験する7割のこどもたちは塾で学習済なのだから、
「割合や速さについてこどもたちはどうやったら理解できるのか?」なんてことを学校の先生が考えて工夫をこらさなくても、過半数の子どもたちは受験勉強を介して理解する。
保護者会での話を聞いていると、東京都23区内で小学校高学年の担任を受け持つ先生方は、
「こどもたちが学習内容を理解できるように授業を工夫する」
よりも、
「どうやってクラスをまとめるか」
「どのようにしたら小学校生活を飽きさせないか」
「いかに学級崩壊を防ぐか」
に注力していると感じる。
そして実際、「クラスをうまくまとめられる」小学校高学年の担任教師の評価が高い。
とどめは、「受験に成功する子ほど、3学期も休まずにきちんと登校する」と小学校の先生方はおっしゃる。
私が小学生の頃も、小学校の先生方は同じことをおっしゃっていた。
コロナ禍なのに、どうしてそこまでして子どもを登校させたいのだろうか。
割を食う「中学受験しないこどもたち」
けれども、公立小学校の算数授業のスキル低下の割を食うのは、中学受験をしない残り3割のこどもたちだ。
だって、
「小学校高学年は重要単元が多いのでしっかりと予習復習しましょう」
なんて話は、長男が通う小学校からほとんど出てこない。
なぜなら、中学受験する子どもたちが過半数だから、小学校の授業の予習復習をする必要なんて、ないのだ。
それに、中学受験が盛んな地域では、中学受験の勉強の妨げになるような宿題を出す教師は保護者に嫌われる。
理解出来ないのは、子ども自身の問題
一方、中学受験しないこどもたちは当然、算数の重要単元について理解が不十分になりがちだ。
けれども、小学校側からは、算数の「割合」や「速さ」を理解できない=「こども自身の問題(個人の能力が低い)」ということにさせられる。
それが嫌なので、算数が苦手な長男を小5から地元の小さな塾(塾長自らが教えている)に入れた。
そのおかげか、長男は今では算数が得意だ。
算数が苦手な子どもでも、公立の学習内容ならば、じっくり時間をかけて学習すれば理解できるようになるのだ、本当に。
この辺の事情について詳しく書いたサイト(↓)を見つけた。
関西圏にある塾のサイトだが、都市部という点で事情は関東圏と同じである。
↑のサイトに書かれていることは、おそろしいほど、長男が通う公立小学校にそのままあてはまる。
↑のサイトでも「中学受験のため」ではなく、「学習習慣の確立のため」に、しっかりとした塾に小学校高学年から通ったほうがよいとのコメントがある。
↑のサイトを運営する塾は小学生を教えていないから、塾の単なる宣伝で「塾に行ったほうが良い」と言っている訳ではないだろう。
小学校の授業を受けるだけで放置していたら、長男は確実に、公立中学に進学してから落ちこぼれになっただろう。
それくらい、都市部の公立小学校の授業スキル(特に算数)は低下しているんじゃないかと思っている。
コツコツ学習する習慣が身につかないのが一番困る
算数という具体的な教科だけではない。
もっと困るのは、「中学受験しないと、コツコツ学習する習慣が身につかない」ことだ。
「主体的で対話的な深い学び」と称して、公立学校では以前よりもディスカッションやプレゼンに重きを置くようになっている。
ディスカッションやプレゼンに授業時間を取られるので、基本的な知識のインプットの時間は当然、減る。
中学受験する子たちは、基本的な知識のインプットは塾でしっかりやるだろう。
けれども、中学受験しない子たちは、基本的な知識のインプットの時間を家庭なりで塾なりでとらないと、ディスカッションやプレゼンの土台に立てない。
日本の教育というのは、貧乏人を思い切り捨てる方向に舵を取っている気がする。
こういった公立小学校の実情を知るにつけ、これから就学する次男を公立中学に通わせてよいのか、それとも、中学受験したほうがいいのか、迷ってしまう。