「集う」子育て支援:場違いママが思うこと

わたしが次男を出産した5年前位から、
わが家がある自治体では、
子育て広場が作られたり、
産後ヘルパー派遣を始めたりと、
産後ケア支援がとにかく増えた。

そのおかげなのか、
今は、たくさんの子育て広場が近所にできた。

 

 

子育て広場もいろいろ

運営母体もいろいろ

子育て広場は、
・自治体が運営しているところ、
・病院や助産院、介護施設が開設しているところ、
・子育てを卒業したママさんが私的に開設しているところ
と、様々だ。

 

利用者もいろいろ

子育て広場がたくさんできると、
不思議なことに、
・育休中の働く母親(ワーママ)がたくさん来る施設
・若い母親がたくさん来る施設
・専業主婦がたくさん来る施設
・母乳育児を実践している母親がたくさん来る施設

というように、
来る利用者(母親)のカラーが施設ごとに違う。

施設ごとに、利用者の住みわけがなされてくるのだ。
実際に、たくさんの子育て広場に行ってみてそう感じた。

子育て支援の運営者自身は、このことに気づいているのだろうか。

 

場違いママ

たとえば、
バリバリのキャリアママ親子が多い施設に専業主婦が行くと、
「保育園はもう見学しました?」なんて話が母親同士で行き交うから、
専業主婦は肩身が狭い思いをする。

子育て中の社員への支援が行き届いた大手企業に勤務して、育休を1年以上取っても職場から白い目で見られない「勝ち組」の母親と、
妊娠出産でパートを辞めざるを得なくなった無職の「負け組」の母親とでは、
話がまったく嚙み合わない

また、若い母親が多い施設に私のような高齢ママが行くと、
「場違いじゃない?」という冷たい空気が流れる。

もちろん、場違いママに対しては、
子育て広場の運営者は気を遣ってくれたりはする。
けれども、場違い感アリアリの施設には二度と行く気はしない。

それでも都市部は子育て施設が多い分、
「自分の色に合った施設を選べる」というメリットはあることだけは確かだ。

でも、産後、心身ともに疲れているのに、
わざわざ冷たい空気を味わいに、子育て支援施設に行くのは勘弁だ。

 

「常連さん」の存在

子育て広場には「常連さん」の利用者が必ずいる。
「常連さん」は子育て広場のスタッフとツーカーだったりする。

リピーターさんが優遇されるのはスナックや飲み屋、フィットネスクラブ等と同じだ。
常連さん達の輪に入り込むのはなかなか難しい。

 

 

集う支援の「向く人」と「向かない人」

行政関係者が行なう子育て支援というと、
母親達が孤立しないようにと、
「子育て広場を作る」という話に行く着くことが多い。

でも、子育て広場に来るのは基本的に、
話好きでどちらかというと社交的なママが多い。

子育て広場の運営者やスタッフも基本的に、
人と関わることが好きな性格の方である。

確かに「孤育てで精神的に煮詰まっていたので、子育て広場に助けられた」
という母親も多いのは確かだ。

その一方で「子育て広場に行くと気疲れするだけ」という母親も案外いるのだ。
私もその一人である。

あまり話好きでない・社交的でない・わたしのような母親は、
子育て広場に積極的に行きたいとは思えない。

同じように「児童館みたいに母親が多く集まる場所に行くのは苦手」
と話していたママもいた。

そう考えると、
産後の個別訪問や産後ヘルパーのように、
母親を個々に支える支援が向いている母親は案外、多いと思う。

専業主婦が大半を占めていた昔と比べて、
今は働く母親も多いし、働き方だって多様だ。
母親がどんな暮らしをしているのかの個人差が大きい。

「みんなで輪になって子育て」が理想なんだろう。
でも、産後、子育てで精神的にも肉体的にも疲れているのに、
余計な気疲れはしたくない。

 

 

1対1の支援を

こういった「集う支援」で困った人を支えようとする傾向は、
産後の母親支援に限らない。

ひきこもりにしても不登校にしても、
「集いの場」を設けて、
そこに対象者を引っ張って来ようとする支援をやりがちだ。

けれども、大勢の知らない人がいる場所が苦手な人は案外多い。

そういう人にとっては「集う支援」はあり得ない。

むしろ1対1の支援が良いと思う。