教育・福祉の壊されっぷり
ここ10数年ほどの間に進んだこの国の「教育・福祉の壊されっぷり」って一体、どういうことなのだろう?
保育園・学童保育・介護施設・放課後デイサービス・養子縁組…どれも民間企業が参入して質の低下が懸念されている。
民間企業が決して悪い訳ではないけれど、子どもたちのためというよりも、経済が回るために民間が参入しているという感じだ。
教育・福祉を壊して浮いたお金はどこに行ったのだろう?
浮いたお金は本当に、社会保障費に回っているのだろうか?
確かに日本は少子高齢化社会だ。
高齢者の割合は年々増えて、若い人の割合は年々減っている。
だから、たくさんの高齢者の年金を数少ない若い人たちの働きで支えなければならない。
増える年金のために、どこかの予算を削減しなければならないのは分かる。
そういう事情があっても、教育に対する投資を削るのは一番最後でしょう?
教育は、国にとって一番大事なもの。
子どもは社会の宝ではなかったの?
それなのに、子どもたちを取り巻く環境は悪くなる一方だ。
保育園を選ぶということ
ここ10数年の間に待機児童という言葉が一般化した。
実際は、保育園への入所を待機しているのは「子どもの親」であって、「児童(子ども)」ではない。
この10数年ほどの間、仕事を持ちながら働く母親が増えて、少なくとも都会では保育園が足りなくなっている。
ここ10数年、規制緩和により、公立保育園の民営化・株式会社保育園の急増・認可外への補助金助成・認可小規模保育の設置・企業主導型保育所の設置が進んだ。
それに伴い、深刻な保育士不足・保育士の高い離職率が問題になっている。
私が保活でたくさんの保育園を見学して分かったことは「良いと思った保育園にはほぼ入れない」という現実。
ちまたでは「ブラック保育園」とよばれる環境劣悪な保育園もあるけれども、良い保育園もたくさんある。
認可保育園の場合、保護者の持ち点ポイントで入園が決まるので、良いと思った保育園には入れるとは限らない。
良いと思った保育園に入れるには、認可外に預けてポイントを稼がなければならない。
でも、現実は安心してお任せできる良質な認可外ばかりではない。
子どもを犠牲にして、意に染まぬ認可外に預けてポイントを稼ぐこと、私はできなかった。
高齢者は知らない
私はちょくちょく高齢者と話す機会がある。
これほどまでに日本の教育環境が壊されていることを高齢者はほとんど知らない。
高齢者は、待機児童が多いことはニュース番組で知ってはいる。
けれども少子高齢化という名目上、子どもたちの教育環境が壊されていることを知っている高齢者はほとんどいない。
幼保無償化が報道されているので、幼稚園や保育園にタダで行けるようになる・若い人たちが助かると高齢者は思っているようだ。
幼保無償化、実際はタダではないケースも多いのだけれど。
高齢者の医療費がうなぎ登りだという名目で、子どもたちの教育環境が壊されていることを高齢者にもっと知ってもらったほうが良いだろうと私は思う。
高齢者が自分のことばかり考えているとは決して思えない。
街で子ども連れだと微笑みかけてくれる高齢者も多い。
知らないだけ。
子どもを取り巻く環境が悪化しているという実情を。
こんなにまで日本の教育環境が破壊されていることを高齢者が知ったら、きっと思うところがあるはずだ。