産むのは爽快だ
わたしの周りでも5、6年前と比べて無痛分娩を選ぶ人が増えている。
2020年の時点で無痛分娩を選択した人の割合は8.6%だというが、東京23区内で無痛分娩を選ぶ人の割合は今はもっと多い印象がある。
実際どうなのだろうか。
個人産院では無痛分娩を取り扱っているところが大人気だ。
分娩の8割以上は無痛分娩、という個人産院すらある。
無痛分娩を望む人が増えているせいか、今まで無痛分娩を取り扱ってなかった総合病院でも無痛分娩を始めたところもある。
一方で、相変わらず無痛分娩を取り扱わない大病院も依然としてある。
助産院は当然、自然分娩のみが対象である。
どういうお産を選ぶのかは、その人のイデオロギーに強く関係すると感じる。
どこの国でも少数派はいる
わたし自身は、ハイリスク患者じゃないのに病院に管理されて出産するのはできるだけしたくない。
わたしは自分の力で産みたい派なので、麻酔をかけて分娩を管理される無痛分娩はやっぱりしたくない(とは言うものの、思い通りにいかないのが出産だ)。
わたしみたいなタイプの人間は必ず何割かはいるだろう。
「アメリカでは7割」「フランスでは8割」が無痛分娩だから日本女性もお産の痛みから解放されたほうがいい、という主張を最近よく見かける。
でも、アメリカでもフランスでも無痛分娩の割合は100%には至っていない。
アメリカでもフランスでも無痛分娩を選ばない少数派がいる点に着目してほしい。
「痛みをこらえて一人前」とはまったく思わない
わたしが自然分娩を望むのは、「痛みをこらえて産んで一人前」とか、「痛みをこらえて産まないと赤ちゃんに愛情を感じない」とか、そういう理由じゃない。
わたしが自然分娩を望むのは「自力で産むのが爽快」だからだ。
もちろん自然分娩でもつらい思いをした人もいると思うので、あくまでも一個人の感想だ。
それに「自然分娩=産後の回復が遅い」とは必ずしもいえないと思う。
お産はケース・バイ・ケースだ。
妊娠中に歩いたりヨガしたりして体を整えてから自然分娩でうまく産めば、産後の回復は早い。
ましてや第2子第3子の出産ならば、分娩にかかる時間は短い。
はじめての出産で無痛分娩を選んだ人は、無痛分娩と言ってもまったく痛くないわけじゃないと言う人もいる。
お産が楽になれば出生数が増える、とは到底思えない。
「自然分娩」という、太古の昔からヒトが哺乳類として脈々とやってきたことは意義があるとわたしは思う。