待機児童と学費の話

都市部では、待機児童が依然として解消されていないことは良く知られている話だ。

かくいう我が家も昨年(2019年)認可保育園を申し込んで全滅した。

 

待機児童の話

待機児童というのは都市部に限った話である。

特に、両親ともにフルタイムの家庭の子どもが何年待っても認可保育園に通えないなんて、都市部のごく一部の地域に限った話なのだ。

地方であれば、普通に就労していれば保育園には入れるし、就労していなくても保育園に空きがあったりする。

どうやら地方では幼稚園が定員割れしており、定員割れした幼稚園は延長保育をして保育園みたいに長時間預かれるようにするか、子ども園へと転換するしかないと聞く。

全国的にみても、ここ数年東京都だけ子どもの数が増えている。

つまり、子どもの数は都会だけ増えているのだ(2019年現在)。

それなのに、相変わらず待機児童は全国的な問題として取り上げられている。

待機児童は都会だけの話で、地方では保育園は定員割れしていたりするのに。

待機児童について都市部に住んでいる人はもっと怒っていいと私は思う。

待機児童の話になると、「地方に住めば保育園の問題なんてないから地方に移住すればよい」という話が出てくる。

でも、仕事も学校もないのに、保育園に入れないという問題だけで地方に移住するのは現実的ではない。

なぜ都会から地方へと人口が移動しないのだろうか。

理由はそれほど難しくない。

地方は仕事がないし、学校選択の自由がない。

都会にいれば自分に合った仕事・自分に合った学校を選べるが、地方では仕事も学校も選択肢がない。

特に私は先祖がずっと東京に住んでいる東京土着民なので、地方に移住する理由もない。

なお、東京土着民であっても、保育園入園には何の優遇も受けられない。

それでも、最近は働き方の多様化で、地方に移住する人も少しずつ増えているようである。

地方へ移住するにあたり、仕事面の問題は解消されても、「学校」は大きな問題だ。

保護者からみても子どもからみても、やっぱり都市部の学校の多さ(選択肢の多さ)は魅力的だ。

 

学校統廃合

何でもかんでも都市部と地方を一緒にするのは待機児童だけではない。

学校統廃合に関しても同様だ。

子どもの数の減少を理由に、文部科学省は学校統廃合をすすめようとしているようだ。

けれども、東京都では子どもの数は減少していない(2019年現在)。

それなのに「学校統廃合を行う場合には校舎の増改築に補助金を出す」などして、東京都でも学校統廃合がすすめられている。

学校統廃合っていうのは本来「1つの学校に生徒が数名しかいない」ような地方の過疎地帯の学校をターゲットにしているのだと思う。

それなのに、この補助金制度のおかげで、子どもの数が減っていない都市部の小中学校まで統廃合のターゲットになっている。

何でもかんでも都市部と地方とを一緒くたにするの、本当に止めて欲しい。

私のような東京土着民にとって、ずっとこの地に住んでいるのに待機児童で保育園に入れないとか、子どもの数が減っていないのに学校統廃合で子どもが通う小中学校が遠くなるとか、本当に迷惑をこうむっているのだ。

 

東京都の大学定員制限

国は東京一極集中を解消したいようで、当面東京での大学の定員を増やすことを禁止したりして、地方に人口が移動するように誘導する策を講じている。

けれども、現在の大学の学費の高さを考えると、都市部から地方への大学進学は、地方から都市部への大学進学と同じように簡単ではない。

大学の学費はだいたい、親の世代の学費の約2倍と考えておいたほうがよい。

大学(私立文系)が1年間で約100万円、大学(私立理系)に至っては1年間で約200万円近くかかる。

これに住居費を含めた仕送りが1年間約100万円かかることを考えれば、下宿生は大学(私立文系)で1年間で約200万円、大学(私立理系)で1年間で約300万円かかる。

一方で、地方大学に進学する場合、国立大学であれば費用が安くすむとはいえない。

地方大学(国立)に下宿生として進学させる場合、学費以外に1年間で最低150万円はかかるだろう。

理系で大学院まで進学するならば、地方国立大に進学しても6年間で1,000万円かかる。

気が遠くなりそうだ。

この費用の高さを考えると、どこの誰が、都市部から地方大学(特に地方の私立大学)に子どもを進学させたいと思うのか?

ちなみに、今は大学生の約半数が奨学金を利用して大学に通っているそうだ。

 

質素な暮らし

我が家(ただいま一馬力・妻は専業主婦家庭)は今のところは、奨学金を使わずに子ども2人の大学費用を捻出しようと頑張っている。

普段の生活は、スーパーで1円でも安い商品を探すような、極めて質素なものである。

おそらくこのままの家計状態が続くとすると、我が家は大学の無償化の対象にはならない可能性が高いだろう。

高額な大学の学費の捻出を考えると、正直な話、今年(2019年)10月から始まる幼児教育無償化など焼け石に水だ。

現在、東京都では都立高校・私立高校について、一定の所得以下の世帯に対して無償化が行われている。

我が家はこの高校無償化のギリギリ対象外である。

だから、我が家は子ども2人の高校の学費も大学の学費もきちんと蓄えておかなければならない。よって、極めて質素な生活にならざるを得ない。

我が家のような暮らし向きの世帯は相当多いと思う。

要するに、我が家のようにギリギリ無償化の対象から外れる世帯の人数が一番多いのではないかと思う。

だから幼児教育無償化で経済が活性化するはずないのだ。

もしかしたら我が家は無償化の対象になっている世帯よりも質素な生活を送っている可能性が高い。

まさにアリとキリギリスだ。

働こうとしても保育園には入れないし、働いたら働いたで何の恩恵も受けられないのだから。