妊娠出産の伝承

出産の伝承

広尾日赤は分娩数からいうと日本有数だ。

けれども分娩数の割には日赤でのお産に関するネット上の情報は少ない。

私が今回、妊娠や出産の記録をブログという形で残そうと思ったのは、自分が経験したことを伝承できる相手が少ないことに気づいたから。

 

我が家には娘がいない

我が家には娘がいない。

これから娘を出産する可能性もほぼゼロに近い。

だから、自分の妊娠出産の経験を母から娘に伝えること自体、そもそも不可能である。

孫の代になれば女の子が生まれるかもしれない。

けれども、きっとその頃には私は自分の妊娠出産のことなどすっかり忘れているだろう。

私の実妹に娘(私からみて姪)がいるので、妊娠出産に関して伝承できるのは姪くらいだ。

果たして姪が私からの妊娠出産について知りたいと思うか分からない。

自分の経験から得られた知見を後世に伝える機会がないというのはとても寂しいことだ。

こんなことを言うと、まるで、後継者がいない伝統工芸の職人のようだ

自分が経験したことは時間が経つと忘れてしまう。

だから今、この場で自分の妊娠・出産の記録を記しておこうと思い立ったのが、このブログを開いた理由のひとつでもある。

 

母からの伝承

ふと考えてみると、妊娠中の過ごし方や出産について母から聞いたことはほとんどなかったことに気付いた。

母が私を出産した時代はすでに病院での出産が主流だった。

しかもミルク全盛時代で母乳育児の割合が今よりもずっと低かった時代である。

母が私を出産した時代は「病院で産ませてもらう」感覚が大きかったのだろう。

母が母乳育児を経験していないので、私は助産師さんに助けてもらいながら母乳育児に奮闘し、試行錯誤した。

母乳育児について母から娘への伝承がいったん途切れれば、それ(=母乳育児)を復活させるのに、産婦本人だけでなく関係者を含めて多くの労力がいることを身をもって経験した。

娘さんがいる方は、自分の妊娠・出産の経験をぜひ娘さんに伝承してあげてほしい。

 

実妹からの伝承

私と同様、実妹も帝王切開の経験者である。

実妹は私が帝王切開する前に、すでに3人の子どもを帝王切開で出産していた。

私が帝王切開する前日、実妹は「麻酔が始まると気持ち悪くなるかも。気持ち悪くなった段階ですぐ『気持ち悪い』と医師に伝えたほうがいいよ。」と私に教えてくれた。

実際、実妹は自身の帝王切開の最中、麻酔の副作用でひどい頭痛がしたそうだ。

実妹からの伝承のおかげで、私は今回の帝王切開の際に気持ち悪くなったとたんにそれを医師に申し出た。

医師は素早く対処してくれたので、私は頭痛にならずに済んだ。

やっぱり経験者からの伝承は本当にありがたい。