昔は幼稚園に行く必要はなかった(読書感想)家の履歴書 男優・女優編(著者:斎藤明美)
「家の履歴書 男優・女優編」(斎藤明美、キネマ句報社)という本を読んでいる。なかなか面白い本である。
この本は、週間文春の人気連載「家の履歴書」から印象に残った男優・女優を著者が選び出してまとめたものだ。
初版が2011年で今から10年以上前に発行された本なので、登場する俳優は現在70~90代の方が主流だ。
この本で印象的に残ったことをひとつ。
この本に登場する俳優のなかに「幼稚園に通わなかった」と話している人がけっこう居ることだ。
※以下登場人物は敬称略
幼稚園に通わなかった「藤山直美・堺正章・小林旭・高島忠夫」
この本で「幼稚園に通わなかった」と話すのは、藤山直美・堺正章・小林旭・高島忠夫である。
藤山直美は「近所の子と遊んでいたから幼稚園に通わなくてよかった」と話す。昔は幼稚園に通わない子どもはたくさん居たから、幼稚園に通わなくても近所で遊び相手はいくらでも居たということだ。
堺正章・小林旭・高島忠夫は「幼稚園が大嫌いだったから通わなかった」と話す。
小林旭は、一人で居るのが好きだったので幼稚園に通わなかったそうだ。当時から一匹狼の風格である。
高島忠夫に至っては、幼稚園でお友達が描いた絵を先生が褒めたのが気に入らなかったのか、お友達が描いた絵を先生から奪い取って破り捨てたうえ、木に登って「落ちて死んでやる!」と騒いで幼稚園を退園になったそうだ。かなりの荒れ者である。
高島忠夫の往年の穏やかな雰囲気からは想像がつかない幼少時の姿である。ただ、姪のヴァイオリニスト氏に共通するものはある。
いずれにせよ、昔は「幼稚園は別に通わなくてもよい場所だった」ということだ。
それに「幼稚園に通わなくても人生なんとかなる」ということだ。
そして、昔はこどもに対して相当おおらかだった、ということだ。「幼稚園なんか通わなくても生きていける」くらいに思っておけば、どうってこともないのかもしれない。