山下達郎とマッチさん
ジャニーズ事務所と山下達郎(以下、登場人物は敬称略)の話題でもちきりである。
きっかけは、山下達郎が所属する事務所(スマイルカンパニー)が、所属していた音楽プロデューサーの契約を解除したことだ。
その音楽プロデューサー(松尾潔)はジャニー喜多川の性被害に関する一連のジャニーズ事務所の対応について苦言を呈していた。
山下達郎が所属するスマイルカンパニーはジャニーズ事務所と長年繋がりがあったのだ。
個人的には、ジャニーズ事務所はいったん解散したほうがいいような気がする(ジャニーズ事務所の「性被害」について思うこと・被害者の数が多すぎる(故ジャニー喜多川氏の性被害について))。
山下達郎の場合、長年、ジャニーズ事務所と持ちつ持たれつの関係があったから、今回の騒動についてどのように落とし前をつけるのだろうか。
山下達郎:近藤真彦に楽曲を提供
山下達郎はジャニーズ事務所に所属するタレントに多くの楽曲を提供してきた。
なかでも、その先駆けになったのは近藤真彦である。
デビュー当時、近藤真彦が所属するレコード会社(RCA)のプロデューサーであった小杉理宇造が山下達郎のプロデュースも担当していたのだ。
少なくとも40年前から、小杉氏を介して山下達郎とジャニーズ事務所との繋がりがあった、ということだ。
小杉理宇造はスマイルカンパニーの設立者で、今は社長から退いている。
小杉理宇造はその後、ワーナーミュージック・ジャパンの代表取締役会長にまでなっている。
山下達郎:巧みなコーラスワーク
小学生の頃、わたしは近藤真彦(マッチ)のファンだったことは以前も書いた。
最近、ジャニーズ事務所について苦言を呈したと話題になった近藤真彦だが、改めて思うに、「音楽業界のみならず各界で大物を惹きつける何か」を近藤真彦は持っているようだ。
そういえば、わたしは、近藤真彦を介して山下達郎の存在を知ったのだ。
そういう人はそんなに多くないのだろうか。
近藤真彦の楽曲『ハイティーン・ブギ』は山下達郎による作曲だ。
〇ハイティーン・ブギ/近藤真彦
コーラスとして参加する山下達郎の声がはっきりと聴きとれる。
『ハイティーン・ブギ』のほかにも、山下達郎は近藤真彦に楽曲を提供している。
提供した楽曲では山下達郎がコーラスを担当することもあった(『永遠に秘密さ』など)。
『永遠に秘密さ』のB面の「one more time」も山下達郎・作曲で、なかなかの名曲だと思う。
〇One More Time/近藤真彦
わたしが小学生の頃に購入した近藤真彦のアルバムには、コーラスとして山下達郎・竹内まりや夫妻が参加している。
わたしが当時購入した雑誌には「新婚旅行直後に同夫妻はこのアルバムのコーラスに参加した」と書かれていたを思い出す。
〇ヘイ・キャロル/近藤真彦
〇ブルー・シーサイド/近藤真彦
本当に懐かしい。久しぶりに聴いた。
山下達郎と竹内まりやのコーラス(特に竹内まりやの声)がバッチリ聴こえる。
同夫妻の巧みなコーラスワークが楽しめる。
特に竹内まりやのコーラスがノッている。
ひょっとしたら、同夫妻がコーラスを担当した楽曲のなかでも優れた仕事のひとつではなかろうか。
ただボーカルの歌唱力がちょっと…。
そういえば、この時代、ボーカリスト(アイドル歌手)よりも、バックコーラスのほうがずっと上手い曲がたくさんあったな。
アイドル歌手のアルバムにしては異例ともいえる豪華なコーラスなので、何故この夫妻が近藤真彦のアルバムに参加しているのか、当初わたしは不思議に思っていたが、のちに、近藤真彦と同夫妻のレコード会社のプロデューサーが同じ人だからなのだと気づいた。
今の時代のほうが「まとも」なこともある
小杉理宇造はインタビューでもメリーさん・ジャニーさんを絶賛している。
ジャニー喜多川・メリー喜多川のショービジネスに対する姿勢については確固たるものがあったのだと思う。
ただ、昔は見過ごされていたもの(未成年の同性に対する性的行為)が今の時代には到底許されるものではなくなった。
この点は、東京オリンピックで叩かれた小山田圭吾の障碍者いじめにも共通する。
「昔は良かった」と古き良き時代を回顧することが多いこの時代、今の時代のほうが昔よりも「まとも」なこともある、ということだ。