(読書感想)高倉健 隠し続けた七つの顔と「謎の養女」

本書(高倉健 隠し続けた七つの顔と「謎の養女」)には、高倉健の死後に突然公になった養女についてのみならず、高倉健の生い立ち・交友関係・江利チエミとの結婚生活と晩年などについて書かれている。

高倉健の死後に養女がとった行動については先日まとめた。

高倉健と謎の養女

 

江利チエミの過酷な人生

わたしが本書で一番興味を持ったのは、江利チエミとの結婚生活(後に離婚)である。

高倉健よりも江利チエミという人の壮絶な人生が印象に残った。

なんとまあ、ここまで壮絶な人生も珍しいと思う。

江利チエミ自身は明るく快活な性格で、高倉健の親や兄弟は江利チエミのことをとても好意的に思っていることが本書をを読んでよく分かる。

江利チエミの自身の性格が過酷な人生を呼びよせているとは到底思えない。

・体質から重度の妊娠中毒症で生命が危ぶまれる事態になり、高倉健との子の中絶を余儀なくされる

・その後、養子に迎えようと可愛がっていた甥が踏切事故で亡くなる

・異父姉にあたる人に騙されて多額の借金を背負う

・自宅が全焼する

など、次々と降ってわいたように重大な出来事が起こる。

なかでも、異父姉なる人が、江利チエミを陥れるための計画書をノートにしたためていたという事実が恐ろしい。

読んでいるだけでつらい。

江利チエミがその異父姉に何かをした、というわけじゃないのだ。

江利チエミが高倉健と離婚したのも、異父姉が作った借金で高倉健に迷惑をかけたくなかったという理由も泣ける。

江利チエミは歌手として天賦の才があった人で、15歳で歌ったテネシーワルツの英語の発音は完璧である。

江利チエミは高倉健と離婚した後、異父姉が作った借金を完済したあと45歳で亡くなる。

彼女が遺した曲は今も聴くことができる。

 

高倉健 隠し続けた七つの顔と「謎の養女」

2020年
森 功
講談社文庫

 

 

高倉健(まとめ)

高倉健と謎の養女

(読書感想)高倉健 隠し続けた七つの顔と「謎の養女」