薬学部は増やし過ぎたのだ

だいぶ前から、多くの薬学部の定員割れが起こっている。

全国の薬学部のおよそ3分の1が偏差値40以下だそうだ。

 

今は、定員割れでいわゆるBF(ボーダーフリー)の薬学部も少なくない。

 

偏差値40以下の薬学部は地方大学の薬学部に多い。

 

 

要するに「薬学部を増やし過ぎた」のだ。

およそ30年以上前、わたしが大学生の頃は、薬学部は数が限られていたので、私大薬学部でも一定以上の高いレベルを保っていた。

ところが規制緩和により、2000年前後から全国各地に薬学部が大量に作られた。

 

薬学部の新設については、かなり前、2007年に内田樹が取り上げていたことを思い出した。

ユニバーシティ・コン(内田樹の研究室)

薬学部新設のために外資系コンサルが全国各地の大学に売り込みに来た、と内田氏は述べている。

当時、神戸にある女子大に勤務していた内田氏は、外資系コンサルが薬学部新設の営業のために大学に乗り込んできたのをリアルに体験したのだろう。

実学志向が強まる中「女性にも手に職を」という声に応えるために薬学部を新設した女子大も存在した。

 

今後は、薬剤師国家試験の合格率が低い薬学部から淘汰されていくのだろう。薬学部というのは実験設備や動物飼育施設などが必要なので、文系学部に比べて初期投資が大きい。多くの大学にとって薬学部新設は「高い買い物」だっといえる。

 

団塊の世代が75歳を過ぎて80代90代を迎える今後20年ほどは、薬の売り上げは自ずと伸び、薬剤師の需要はそれなりにあるだろう。

けれども、団塊の世代がほぼ草葉の陰に隠れるであろう20年後、薬剤師に働く場はあるのだろうか。