BOØWYのシングル曲を改めて聴き直す
ここ最近、BOØWYの曲を久しぶりに聴き込んでいる(改めて思う、氷室京介の「声」)。
改めて、氷室京介と布袋寅泰の2人が出会ってBOØWYという素晴らしいバンドが誕生するという「偶然性」に感謝したい。なぜなら、BOØWYは短い活動期間でこんなに素敵な曲を残したのだから。
氷室京介が歌詞を大事に作り上げていること、そして、布袋寅泰が優れたメロディメーカーであることを再認識している。
久しぶりに聴きかえしてみたBOØWYの7枚のシングル曲の感想をまとめてみた。
『ホンキー・トンキー・クレイジー』
1985年6月発売のファーストシングル。
8ビートのシンプルな曲。
シンコペーションリズムが入っているので、案外、ポップで可愛らしい感じに仕上がっている。
途中、間奏から終盤にかけて、唐突に外国人女性コーラスが入るという「意外性」がある曲だ。
『BAD FEELING』
1985年8月発売のセカンドシングル。
冒頭のギターの印象的なカッティングで有名な曲だが、ギターだけでなくシンセサイザーが使用されており、ともに布袋寅泰氏が担当している。
『BAD FEELING』は、8ビートの前作『ホンキー・トンキー・クレイジー』とは趣向が全く異なる。
当時のディスコ(死語かも)でかかっていてもおかしくない、16ビートのダンサブルな曲だ。
『わがままジュリエット』
1986年2月発売の3rdシングル(作詞・作曲:氷室京介、編曲・プロデュース:布袋寅泰)。
BOØWYの代表曲のひとつに挙げられるメロウなスローバラードである。
「わがままジュリエット」というタイトルそれ自体がキャッチーで忘れられない。
後に紹介する『Marionette』にも共通するが、歌詞が韻を踏んでいて凝っている。
8ビートの曲でシンプルなアレンジのせいか、冒頭や間奏のギターのフレーズもメロウで心に残る。
『B・BLUE』
1986年9月発売の4thシングル(作詞:氷室京介、作曲・編曲:布袋寅泰)。
冒頭のドラムのフレーズが印象的な、シンプルで軽快・ストレートで正統派の8ビートの曲。
リズムもギターのフレーズもギターソロも直球勝負の正統派。
BOØWYの代表曲のひとつ。
この曲がリリースされた頃からBOØWYの人気に火が付いた。
『ONLY YOU』
1987年4月発売の5thシングル(作詞:氷室京介、作曲・編曲:布袋寅泰)。
アルバム『BEAT EMOTION』のシングルカット。
アルバム『BEAT EMOTION』では、1曲目が『B・BLUE』、2曲目が『ONLY YOU』という「黄金の並び」である。
『ONLY YOU』は8ビートで軽快、ギターのカッティングとアルペジオが印象的だ。
『B・BLUE』と『ONLY YOU』は既存体制への反抗というよりもラブソングである。
『Marionette』
1987年7月発売の6thシングル(作詞:氷室京介、作曲・編曲:布袋寅泰)。
タイトル『Marionette』からも想起されるように、この曲は既存の体制への反抗がテーマ(BOØWYの真骨頂だと思う)。
日本語・英語の双方で韻を踏む、凝った歌詞が面白い。
曲全体を通して、ギターのフレーズが冴えわたっている。
サビでは、ボーカルにかぶさっていくようなギターのフレーズが特徴的。
間奏部分のギターソロも秀逸。
『季節が君だけを変える』
1987年10月発売の7thシングル(作詞:氷室京介、作曲・編曲:布袋寅泰)。
解散前の最後のシングルである。
この曲が発売された時点で解散は決定的であり、メンバー同士の直接的な意思疎通が難しかったと聞く。
けれども、解散前の2つのシングル『Marionette』と『季節が君だけを変える』のギターのフレーズとギターソロは非常に冴えていて、聴いていてとても心地良い。
『季節が君だけを変える』でも、ボーカルに呼応するようなギターのフレーズと、せつない感じのギターソロが印象的だ。
ギターソロは16小節でコンパクトにまとまっている。個人的には、BOØWYのシングルの中ではこの曲のギターソロが一番好きだ。
優れたギタリストというのは、速く弾けるとか技巧的に優れているだけでなく、その曲に適したフレーズを提示できることがとても大事だ、ということを改めて認識させられた。
『季節が君だけを変える』というタイトル通り、当時、季節の変わり目(秋口)にこの曲が流れていたのを思い出した。秋だからこそこの曲、といえる曲だ。
最後に
たった2年4か月の間に7枚のシングルを残して解散したBOØWY。
最近は、ギターソロ部分をとばして曲を聴く若者が少なくないと聞く。
そんな最近の曲とは対照的に、BOØWYの曲は一聴の価値があるギターのフレーズ&ソロが満載だ。