東京新聞「東京すくすく」を読んで思ったこと
東京新聞に「東京すくすく」というサイトがある。
「東京すくすく」には、保育園や保育士を取り巻く現状に関する記事がたくさん載っている。
東京新聞は、大手新聞社の中で保育の質や保育士不足に関する記事を最も積極的に掲載している。
「東京すくすく」のコメント欄
この「東京すくすく」の記事に寄せられる、たくさんの現役(退職)保育士たちから投稿された沢山のコメントを読んでほしい。
「この状況をなんとかしてほしい」・「どうか助けてください」と訴える保育士の声・声・声が溢れている。
「東京すくすく」のコメント欄を読むと、保育の現場ではパワハラ・いじめ・子どもへの虐待がかなりの頻度で発生していることがわかる。
もちろん、パワハラやいじめなどまったくない保育園に勤務する保育士・子どもへ愛情いっぱいに接している保育士からもコメントもある。
すべての保育園でパワハラやいじめ・子どもへの虐待が行われているわけではないのだ。
保育士をきちんと育てる意識があって質の高い保育を実践している保育園もたくさんある。
とはいえ「東京すくすく」のコメント欄を読むと、もはや保育とは呼べないレベルの保育をする保育園がたくさんあることが分かる。
多くの保育士からの悲痛なコメントを読むと、正直、保育園に子どもを預ける気が失せる。
そして、なぜこういう状況を放置して国や自治体は保育園を増設し続けるのかと疑問を禁じ得ない。
「保護者の不安を煽るのは止めろ」と言うけれど
こういう記事に対して「こういう記事を掲載していたずらに保護者の不安を煽るのは止めろ」という意見がかならず出る。
実際、地元の区議会議員がそう言うのを聞いたことがある。
けれども、保育士の大量退職を軽視できる段階ではないと思う。
長男を保育園に預けていた頃に感じたのは保育士の先生方があまりにも忙しすぎるということだ。
素人ながら、忙しさだけでも緩和されれば保育士の先生方のストレスはだいぶ減るのではないかと感じていた。
そんなに余裕がないのならば、派手な行事や手がかかるイベントはいっそ全て廃止して、時間的・精神的余裕を持って日々の保育に専念してほしいとすら思った。
でも、そう思う保護者ばかりではないのだろう。
保育園で行われる行事やイベントは簡単に廃止できない事情があるみたいだ。
保育士は保育園を選べるけれど、子どもは保育園を選べない
「東京すくすく」のコメントにも書かれているように、現状、慢性的な保育士不足で、保育士にとっては保育園を選び放題で選べる状況である。
だから、保育士は保育業界の知人をたどっていったり、出身校に情報を確認したりすれば、ブラックな園に勤務することを回避できるかもしれない。
けれども、保育士はブラックな園を辞めることはできても、ブラックな園に通う子どもたちは保護者がそれに気づくまで園を辞めることができないという重い現実がある。
まだ言葉で思いをうまく伝えられない3歳未満の子どもたちは「自分で園を選べない」。
「子どもたちが保育園という場所で毎日長時間過ごすこと」
「子どもたちは長時間ともに過ごす人たちから意識的に・無意識にたくさんの影響を受けること」
を忘れないでほしい。
どこでも良いからと言って選んだ保育園に次男を預ける気は起きない。
フルタイムで仕事復帰すれば、もっと豊かな生活を送れるかもしれない。
けれども「東京すくすく」にある一部保育士のコメントにあるような、保育士が陰で子どもの容姿をバカにしたりあだ名をつけて嘲笑したりするような保育園に子どもを預けてまで仕事復帰したいとは思えない。
慢性的な人手不足に陥っている保育園に子どもを預ける気はどうしても起きないのだ。