小説「グロテスク」とQ女子高

前回・前々回と2回連続で小説「グロテスク」について取り上げたところ、偶然、タイムリーに慶応女子高に関する記事が載っていた。

慶応女子高の偏差値さらに上昇の気配…背景に芦田愛菜のイメージと東京都の高校無償化

上の記事によると、同高出身者である芦田愛菜と東京都が最近発表した高校無償化が追い風となって、慶応女子高の偏差値がさらに上昇しそう、とのこと。

高校無償化になるからといって、慶応女子高の偏差値が上がるとは到底思えない

そもそも、慶応女子高は、助成金をあてにする家庭の子女が入学する学校ではないからだ。

 

慶応女子高の推薦枠が増えた(2024年入試)

慶応女子高は現在、高校入試で約100名を募集する。

しかも、推薦30名・一般入試で70名の募集である。

2024年度募集で一般入試枠が10名減り、推薦枠が10名増えた。2023年の一般入試枠で補欠繰上合格者が出たせいだろう。

推薦枠を増やしたということは、学校としては同高を第一希望とする生徒に入学してもらいたいということ。

小学校受験・中学受験では相変わらず大人気で難関なのに、小学校受験・中学受験で女子の募集枠を広げようとしないのはなぜだろうか。

 

昔はもっと難関だった

私が中学生の頃、同校の募集は50名(一般入試のみ)だったと記憶している(受験していないから記憶は定かではないが)。

当時の募集人数は今の半分だったこと・当時の中学生の数は今の約2倍だったことを考えると、親世代の頃に比べて今の慶応女子高は結構「広き門」になっている。

慶応女子高に限らず、今は、他の有名私大付属高も軒並み、高校入試に「推薦」を導入している。これまた驚きだ。

 

作文を課して思考力を判定

上の記事によると、慶応女子高の一般入試科目は英・国・数と作文。

作文を課して思考力の有無を判定しているようだ。

『外部生がたとえ内部生と仲良くできたと思っても、内部生は外部生を「仲間」だと思っていない』~小説「グロテスク」ではそう描かれているし、ネット上でもそういう意見を見かける。

せっかく高いお金を払って入学しても、一部の同級生と壁がある学校に入りたいだろうか。

同高の一般入試に補欠合格者が出るのも分かる気がする。

それに同高の入試で課される作文試験を突破できる高い思考力を持つならば、ほかの選択肢はたくさんある。

他の有名私大の付属校も似たような状況だろう。

東京の高校受験での成績上位層女子の選択肢の少なさは本当に残念だ。

現状は女子が受験できる私学難関校は軒並み付属校ばかり。付属校特有の雰囲気が苦手な場合、付属色ができるだけ薄い私学を選ぶ・できるだけ安全圏の都立高校を受験くらいしか対応できない。

 

付属校には特有の人間関係があることを知っておいたほうがいい

「レベルが高い」という理由だけで慶応女子高の受験をすすめる塾講師はいかがなものか。

良識ある塾講師ならば、有名付属校の受験を考えている受験生に「付属校には特有の人間関係がある」ことを教えてくれるはずだ。

 

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