【小学校】全員一律「鍵盤ハーモニカ」じゃなくていいのに

わたしが住む街の公立小学校では、小学校低学年に音楽の授業で鍵盤ハーモニカを練習する。

小学校入学にあたり「鍵盤ハーモニカを用意してください」と小学校から言われる。

 

鍵盤ハーモニカというものは、楽器を習っていない小学校低学年の子にとって弾くのが難しい代物だ。

もともと音楽的センスがある子どもならば、楽器経験がなくとも鍵盤ハーモニカに素早くなじめる。

でも、音楽的センスに優れている子ばかりじゃない。

 

小学校低学年では鍵盤ハーモニカをうまく吹けない子どもが少なからず居る。

特に男児は鍵盤ハーモニカをうまく吹けない子が多い。

次男が通う小学校の授業参観を見学してみて、鍵盤ハーモニカをうまく吹けない子が増えていると思った。

小学校低学年のクラス全員での鍵盤ハーモニカの合奏は不可能になりつつあるようだ。

 

一部の園では「小学校に入学したときに困らないように」という理由で、鍵盤ハーモニカを先取りして園で練習している。

小学校入学後にできないことが、小学校入学前にできるわけがないのだ。

だから、鍵盤ハーモニカが苦手な子にとっては、先取り教育で鍵盤ハーモニカを練習することは意味がない。

 

鍵盤ハーモニカは安くない

鍵盤ハーモニカは値段が数千円する。安くない商品である。

「息を吹き込む」という機能上、他人のお古をもらって使うことに抵抗がある人も多いから、結局、購入する親は多い。

鍵盤ハーモニカの購入は、入学準備でお金がかかる時期に痛い出費である。

長い間「鍵盤ハーモニカ=小1音楽の定番」で、小学校入学時に鍵盤ハーモニカを買わされるのは業界保護というか、製造メーカーの意向が働いているのだろう。

わたしが子どもの頃は鍵盤ハーモニカではなくハーモニカだった。

ハーモニカは数百円で買えたから金銭的負担は少なかった。

 

ピアノを習う子どもが減っている

鍵盤ハーモニカをうまく吹けない子どもが増えているのは、ピアノを習う子どもが昔より減っていることも大いに影響していると思う。

わたしが子どもの頃に比べると、楽器演奏に関心がない保護者が増えている。

いや、関心がないのか、時間がないのか、お金がないのか、正直言うと分からない。

共働き家庭が増えて、ピアノレッスンへの送迎をしたり、ピアノレッスンの課題に自宅で付き添ったりする時間がない、という理由は確かにあると思う。

ピアノを習っている子の割合は地域差が大きいといわれている。

わたしが住む街は中学受験する割合が3~4割ほどで東京23区では真ん中くらいの街である。

そんな街でも小1次男のクラスの場合、ピアノを習っている子はクラスの2割程度。

特に男子に限っては、ピアノを習う男子はクラスで次男だけ、みたいだ。

 

不器用な子どもが増えている

鍵盤ハーモニカを弾くときは「息を吹く」と「鍵盤を押す」という2つのことを同時に行う

「字を模写する(お手本を見ながら字を写し書きする)」や「縄跳び(手で縄を回しながら足でジャンプする)」なども、2つのことを同時に行う動作だ。

鍵盤ハーモニカに限らず、2つのことを同時に行うのが苦手な子が増えているのだろう。

2つのことを同時にするのが上手くできるようになるのは6歳前後だろうか。

 

個人的には、苦手なことを無理に練習しなくても、成長してできるようになったら練習すればいいと思う。

ただ、鍵盤ハーモニカができるようになるまで待つと、ドレミの音階に親しむ機会が減ってしまう。

成長する時期が来るまで親が見守ってあげられればいいのだが、結局多くの場合、楽器ができないまま・そのまま大人になる。

大人になったら、自分から積極的に動かない限り、音楽に触れる機会はなくなる。

せっかくの音楽の授業なのだから、音楽の授業が嫌いになるのはもったいない。

 

全員一律に鍵盤ハーモニカをやる必要はあるのか

音階を理解するならば、鍵盤ハーモニカの代わりに鉄琴や木琴でも良いはずだ。

全員一律に鍵盤ハーモニカやリコーダーをやる必要はあるのだろうか。

確かに、みんなで力を合わせてひとつのことを成し遂げる経験は大切だ。

でも、全員同じことをしないと、みんなで力を合わせてひとつのことを成し遂げられないわけじゃない。

もはや一律に何かをやらせるより、子ども自身がやりたい楽器を選択できるほうが子どもにとっても楽しいだろうし、苦手な子に鍵盤ハーモニカを教えなければならない学校の先生の負担も少なくなると思う。