中学校の体育~創作ダンスの思い出
2012年から「ダンス」が中学校体育の授業で必修化されている。
つまり現在は、中学校では男女問わずダンスの授業が必ずあるのだ。
どういう経緯でそうなったのかは分からないが、ダンスの必修科目化は、芸能事務所系から文部科学省への働きかけがあったのか?と勘繰ってしまう。
マイケル・ジャクソンの功績
そういえば1970年代までは、歌手は「歌」が専門であり、歌いながら踊ることは歌手には求められなかった。
ところが、1980年代に入るとマイケル・ジャクソンにはじまり、日本でもトシちゃん・少年隊・光GENJIなどを代表とする「唄って踊る」歌手の登場により、ダンスは少しずつ注目されるようになってきた。
そう考えると、マイケル・ジャクソンが遺した功績は偉大だ、と改めて思う。
その後、安室奈美恵やTRFといったダンスと歌の両方をこなすミュージシャンが増えはじめ、ダンスそのものが着目されるようになって今に至る。
昔の中学体育の授業:ダンスは女子のみ
そういえば、私が中学生の頃は、体育の授業での「ダンス」は女子だけが行っていた。
今はダンスと言っても、バレエや社交ダンスやタップダンスからブレイクダンスやヒップホップまで幅広い種類のダンスがある。
けれども昔は、ダンスと言えばモダンバレエか社交ダンスくらいだった。
モダンバレエ専攻の体育教師
私が中学生の頃に教わった女性体育教師はモダンバレエ専攻だった。
昔は、ダンス専攻の女性体育教師がわりと多く居たと思う。今もそうなのだろうか。
もともと太らない体質なのだろう、その女性体育教師は体つきからしてスリムでバレエ向きの体型をしており「年を取るほど痩せてしまって困る」と話していた。
その女性体育教師はダンスが専門なので、体育の授業では創作ダンスに力を入れていた。
ダンスの授業では、女子生徒がいくつかのグループに分かれて創作ダンスを作らされた。
創作ダンスの授業では、ダンスに使う曲の選曲から振り付けまで生徒たちが考える羽目になった。
今なら、小さい頃からダンスを習っている子どもが多く、ダンスの創作に積極的で、いろいろな振り付けができる生徒もいるだろう。
ところ1980年代はダンスに興味を持つ生徒はほとんど居なかった。
正直言って当時のダンスの授業は「お通夜状態」。
1980年代の女子中学生にとっては、竹の子族じゃあるまいし「みんなのまえでダンスを踊ること」=恥だったし、知っている踊りと言えば「フォークダンス」や「盆踊り」くらいなものだったのだ。
その結果、グループのメンバーで毎回集まっても良い案が出なかった。
ようやく完成した踊りは「フォークダンス」や「盆踊り」みたいな、みんなで手をつないで一緒に歩く程度のショボい踊りだった。
1980年代の中学校のダンスの授業では、担当の女性体育教師ひとりだけ満足気で楽しそうで、生徒たちはシラケ切っていたのが懐かしい。
ダンス必修化でダンスのレベルは間違いなく上がっていると思う
それにひきかえ、今の小中学校の運動会で披露されるダンスは昔とは雲泥の差。
振り付けも素晴らしいものが多いし、リズム感が悪いと踊れないような高度なダンスが運動会で披露される。
今はこどもたちはyoutubeの動画を見てダンスを練習できるから、振り付けが覚えやすいという影響も大きいと思う。
ダンス必修化のおかげで、間違いなく学校体育のダンスは昔と比べてレベルがかなり上がっている。
とはいえ、改めて考えると、学校体育のダンスはいまだに「みんなで揃って同じ振り付けで踊る」ことを目的としている。
「ダンス」それ自体は本来とても楽しいことなのに、「体育の授業のダンス」ではみんな揃って同じ踊りを踊らなければならず、うまく踊れない生徒は馬鹿にされる、みたいなことが相変わらず全国で起きている。
社会人になってダンス(踊ること)の楽しさを知った私からすると、ダンスという身体表現それ自体は本来とても楽しいことなのに、みんなで揃ってやることを重要視する「学校体育でのダンス」のせいでダンス嫌いが増えるのは誠にもったいないことだ。