幼稚園とピアノ
私は、保活と幼活を両方経験した。
このことは別の記事(園庭がない保育園)にも書いたとおりだ。
保活と幼活を両方経験してみて、都市部において幼稚園と保育園の違いは、ひとつは園庭(園庭がない保育園)で、もう一つはピアノである。
私が感じた幼稚園と保育園の違い(ピアノについて)
幼稚園
幼稚園では、ピアノの音色が幼稚園の活動に溶け込んでいる。
幼稚園の先生は当たり前のようにピアノを使って曲を弾く。
なにげない挨拶の歌でも、サラリとピアノを使って曲を弾くのに驚いた。
ピアノの曲が幼稚園に溶け込んでいた。
なかでもキリスト教系の幼稚園は、讃美歌をピアノで弾くことが日常なので、美しい讃美歌の曲が幼稚園の外まで聞こえてくる。
特にクリスマスシーズンはクリスマスの劇を幼稚園でやるので、たくさんの素敵な讃美歌の曲がピアノで奏でられる。
子どもたちがこの美しいピアノの音色を日々聴くことができる、ただそれだけで立派な音楽教育だと思う。
保育園
一方、保育園でもピアノの音色が聞こえてくることがある。
特別な活動(たとえばお誕生会とかクリスマス会とかの催し物やリトミック等の音楽活動)のときにはピアノの曲が披露されるものの、保育園生活にピアノが溶け込んでいるとは言い難い。
保育園ではふだんはCDラジカセで曲を流すことが多い。
今は進化していて、スマホをスピーカーで繋いでyoutubeの曲を流すこともある。
長男が通った私立保育園では、保育園にピアノがあったのにも関わらず、保育参観などの行事でピアノを使用する場面にはほとんど見たことがはなかった。
行事では、ごく一部の先生だけがキーボードで簡単な曲を弾く。
長男が通った私立保育園はわりと広めの認可保育園だったので、ピアノが園に設置されていた。
認証や認可外の保育園の場合はキーボード使用が普通で、アップライトのピアノすら置いていないところが多い。
保育園は幼稚園と違って生活の場だから仕方がないのかもしれない。
けれども、保育園に通う子どもたちは幼稚園よりもずっと長い時間、保育園で過ごしているのに、美しいピアノの音色を聴く時間が少ないのは残念だ。
最近は「うちの保育園ではリトミックをやっています」と、教育の質の高さをアピールする保育園も多い。
しかし、週1回30分程度のリトミックよりも、日々の保育活動の中でピアノを使う場面をもっと増やして欲しいとずっと感じていた。
だから、幼稚園にピアノの曲が溶け込んでいるのをみると(もちろんそれだけの理由ではないけれど)、幼稚園では音楽がすぐ傍らにある環境に子どもがいられることの素晴らしさを感じる。
保育園に預けるのは止めて、幼稚園に次男を通わせたいと思ってしまう。
「息を合わせる」ということ
私自身は保育園に通っていた。
昔、私が通っていた頃の保育園では、先生はいつもオルガンで曲を弾いてくれた。
当時使用されていたオルガンはいわゆる足踏み式のオルガンだ。
足踏み式のオルガンは足踏みを踏むと「パフパフ」と空気が抜ける音がする。
パフパフという音が懐かしい。
当時はカセットテープすら貴重なものだった。
今のようにCDをかけて曲を流すことはできなかった。
だから先生方はいつもオルガンで曲を弾いてくれた。
足踏み式のオルガンは小学校の教室にも置かれていた。
小学校の先生も教室でオルガンをよく弾いてくれた。
私が子どもの頃は、保育園や小学校の先生は本当にたくさんの曲をオルガンで弾いてくれた。
先生方の生伴奏で歌を歌えたなんて、今思うとなんて贅沢なのだろうか。
最近の保育園では生伴奏に合わせて子どもたちが歌う機会が減っているような気がする。
「生演奏に息を合わせて歌う」ような細かい経験の積み重ねが、ひいては、人の心に寄り添う能力の基盤となっているように思える。
だからこそ、こどもたちには日々の生活で「息を合わせる」ことを積み重ねる体験していってほしい。