川口マーン惠美氏による書評『ママがいい! 母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ』
作家の川口マーン惠美氏が、松居和氏の著書『ママがいい! 母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ』に関して思ったことを述べている。
松居和氏の著書については以前、当ブログで取り上げたことがある。
(読書感想)ママがいい!母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ(著者:松居和)
上記のサイトで川口氏は、日本の子育てにおける「保育のビジネス化」について、ドイツの例を挙げて、日本が欧米の後追いをすることに疑問を呈している。
川口氏が紹介するドイツの例と同様、日本でも多くの若い女性の間でも「出産したら保育園に預けて働く」ことがスタンダードになりつつある。
わたしも長男を出産したとき、子どもを保育園に早くから預けて早く職場復帰するのが当たり前だと思っていた。
「0歳児を保育園に預けたら風邪をもらってしまい40℃の熱が1週間続いた」とか、
「0歳児を保育園に預けたら肺炎になってしまい1か月入院した」とか、
働く母親の間では「いかにこどもをつらい目に合わせたか」という不幸自慢が、ワーキング・マザー(あまり好きな言葉ではない)の勲章・武勇伝のように語られた。
小さい子を保育園に預けながら働く母親は今でも多少なりともそうだろう。乳児を保育園に預けるとしばらくは病気との闘いになるからだ。
おかげでわたしはイライラしながら子育てをするのにすっかり嫌気が差してしまった。
こどもの不幸自慢を聞くのも嫌だった。
もっと嫌だったことは、わたしが出産後こどもを保育園に預けて早期復帰することで、他の同僚女性が出産したら同じように早期復帰することを促す「広告塔」として経営者が私を利用しようとしたことだ。
子育てに対する価値観はひとりひとり違うし子育て環境も各人違うのに「早くから子どもを預けて働くこと」=「常識」にしてほしくなかった。
子育てに専念したい人は専念できる国に
だから次男は小さいうちは自分の手で育てようと思った。
次男が小さいうちは仕事を中断して子育てをしてみたところ、それがまあ、なんと楽なことか。
次男はあまり熱を出さないし、発熱してもすぐに回復する。たまたまかもしれないし第2子だからかもしれないが。
次男は6歳になるまで風邪や発熱で病院に行ったことはほとんどない。
次男の子育ては、常に時間に追われながら保育園に預けていた長男の子育てとは雲泥の差だ。
子育ては有史以来、人間がずっと営んできたことなのだから、それを楽しめない状況になるのはなんと哀しいことか。
せめてこどもが3歳になるまでの間は、仕事をセーブして子育てに注力できるような働き方を選択できる日本であってほしい。
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