(読書感想)とんがって本気(著者:加賀まりこ)追記
俳優やミュージシャンになるという夢を途中で諦めて、サラリーマンになる人もいる。
逆に、若い頃から家業を継いでずっとひとつの仕事を続ける人もいる。
わたしが若い頃は、家業を継ぐのはあまりカッコよくないような風潮があったけれども、最近は、家業を継ぐ若者は昔より増えていると感じる。
非正規雇用が増えて、長年同じ会社に勤めることが難しくなってきたせいもあるのだろう。
さっき、ふと、以前読んだ加賀まりこの本を思い出した。
加賀まりこの著書「とんがって本気」について、以前、書評を書いたことがある。
この加賀まりこの本「とんがって本気」は現在はタイトルが変更されて、「純情ババアになりました」という単行本で市販されている。
この加賀まりこの本(純情ババアになりました)には、加賀まりこが昔、ヨーロッパに遊学に行ったときの話が書かれている。
加賀まりこが当時出会った現地の若いイタリア人は「今日の夕食を誰とどうやって食べるか」をなにより大切にしていたという話だったそうだ。
親から引き継いだ仕事をしている現地の若いイタリア人にとって、「どんな仕事をするか」よりも「その日、美味しい夕食を誰かと食べて楽しいひとときを共有すること」のほうが人生にとって大事だ、という価値観は、当時の加賀まりこにとって新鮮だったと書かれている。
今思うと、いかにしてより多くのお金を稼ぐかを考え続けるよりも、くだんの若いイタリア人のような価値観を持っていたほうが、最終的には豊かな人生を送れそうだと、五十を過ぎて今更ながら思う。
人生のうち、なんと長い時間をわたしは無駄にしてきたのだろうかと思う。
今はイタリアでも日本と同じように、靴屋のこどもは靴屋になり、パン屋のこどもはパン屋になって一生その仕事を続けられる、というわけではないかもしれないが。
【読書感想】70'sについて
萩原健一
沢田研二・安井かずみ
(読書感想)ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒(著者:島崎今日子)
加賀まりこ